40年前の夏。「ウミガメは涙を流して卵を産むんだ」と浜育ちでカメ通の夏夫。目を輝かせたK中3年A組の級友たち。夏夫は産卵時の案内を約束した。
7月初旬夜9時、内之浦町K浜。少年少女13人は岩陰に潜み海を見つめて上陸を待つ。光る波、潮風。尽きないひそひそ話。若者の時間は早く流れてたちまち門限の11時。残念、解散。
その深夜。「先生、今来てる」と夏夫。再び浜へ。ウミガメはもう水際にいた。初めて見る大きな背! そっとさわった。2人でずっと見送っていた。思えば懐かしい夜。「夏夫、ウミガメの涙をまた見たのか!」
出水市 中島征士(63) 2008/10/15 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はsarawakさん
浦島太郎気分だったでしょうか、素晴らしい体験ですね。