オガタマの樹下1㍍の高さに直径3㍍近い記念のオオタニワタリがある。その下には満開のツワブキの花たち――。
初任地の大隅半島のへき地を思い出す。中学生に連れられてよく早春のツワ取りに行った。まずその大きさに驚き、取り立てのツワの味と香りに感動し、その魅力に開眼したものだ。
集団就職などの家庭調書の職業欄に何人かは「ツワ取り」と書いていた。早出しのツワは重要な現金収入だったのだ。ツワの処理で彼らの爪先は黒く染まっていた。樹上のタニワタリの生えた自然の森も、満開のツワの花たちで輝いているだろう。
出水市 中島征士 2016/12/29 毎日新聞鹿児島版掲載
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