亡母の暖房は練炭火鉢だった。 私が高校に入学した頃から使い始めて、高齢になるまでずっと使っていた。冬はこたつの横に置いていて、いつでもやかんがシュンシュンと鳴り、湯気が隙間風に流れていた。根菜類を煮込む鍋もよく掛けられていて中の骨付き鶏肉の身が骨からぽろりと取れるのが柔らかくておいしいと亡夫が言いつつ喜んで食べていた。
母の形見の赤い練炭火鉢を去年から私が使っている。おせち料理作りにも使った。練炭の火の丸い穴も懐かしく暖かく、母がそばにいるような気がしてくる。
鹿児島県霧島市 秋峯いくよ(80) 2010/2/13 毎日新聞鹿児島版掲載
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