はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

春暖

2015-05-02 22:55:30 | はがき随筆
 可憐なチューリップが花びらを落とし、その華やかさを追うようにつつじが咲き始めた。山々も木々が芽吹き「山笑う」とはこの事か。
 子供たちも例年、筍掘りにやって来る。食糧難の時代に祖父母が身を削り、得たのであろう土地。今や竹林となった。そこが、もたらす山の幸に、感慨を深くする。「ここは昔、畑だったのよ」「そうなの?」とけげんな面持ちの子ら。
 流れた歳月を思いながら、小さな菜園に鍬を入れ、夏野菜の準備をする。
 植え付けは、お隣の八重桜が咲いてからと決めている。
  出水市 伊尻清子 2015/5/1 毎日新聞鹿児島版掲載

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