「今朝はどれにしたの?」と妻が襟を引っ張る。せっかく選んでくれたものを着ていないので、少しご機嫌斜めのようだ。
物のない時代に育ったせいか今も倹約グセが抜けない。着古したセーターでも平気で着て歩く。真新しい物が、タンスにごまんと転がっているというのに。好みの物しか着ないのを見かねた妻が「処分してもいいの」と早速片付けだした。ここはごねるより、任せた方が無難だ。
驚いたなあ。ほとんど妻好みの物ばかりで、私の買った物は姿を消した。取って置きの一枚を着ていると「今日は合格よ」と機嫌がいい。まあいいか。
宮崎市 原田靖(78) 2019/4/11 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます