「濃霧で運行中止」の掲示板。2人は隣接の千歳駅まで空港ロビーから走った。釧路行き特急は空港から流れ込んだ乗客で、すし詰め。夜行から帰った翌日、妻が緊急入院した。授かった命の灯が消えた。小さな胎児だが、命の尊さを知った瞬間であった。深い悲しみの淵にある妻に掛ける言葉を探し出せないまま時間が流れた。ふと‘亡き児への愛情’が期せずしてひとりでに立ち昇ってきた。人は必ず終焉を迎えるが、吾子には輝く未来がありますように。今度コウノトリが運んできた赤ちゃんは「未有」と名付けよう。長女は23歳の春を謳歌中。
鹿児島市 吉松幸夫 2011/4/19 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿児島市 吉松幸夫 2011/4/19 毎日新聞鹿児島版掲載
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