「『あいつもね、いいとこあるから頼むね』って夢に出て来てお義父さん言ってたよ」。妻が私につぶやく。「そうかあ、親父がね」。本当に不器用な父だった。貧しさゆえに志願し、将校までなったのに敗戦。田舎に退いてよろず屋のあるじとして人生を閉じた。
幼いころ、隣町へ丁稚奉公に出されたのに商売が下手で店は火の車。でも商売は下手だがうそはつかず、愚直な生き様がみんなに愛された。面と向かっては言わなかったが、私はそんな親父がずっと好きだった。「次の墓参りには吟醸提げてくよ」。心の中で父に誓った。
霧島市 久野茂樹 2017/6/15 毎日新聞鹿児島版掲載
幼いころ、隣町へ丁稚奉公に出されたのに商売が下手で店は火の車。でも商売は下手だがうそはつかず、愚直な生き様がみんなに愛された。面と向かっては言わなかったが、私はそんな親父がずっと好きだった。「次の墓参りには吟醸提げてくよ」。心の中で父に誓った。
霧島市 久野茂樹 2017/6/15 毎日新聞鹿児島版掲載
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