はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一膳

2011-03-15 11:35:33 | はがき随筆
 「えっ~、今日もこれ?」と不満顔の私。「毎日、一緒で悪いね」と母の言葉。今晩もタマネギのみそ汁と目刺しの晩ご飯だった。「戦地では今度いつ食べられるか分からなかった。目の前に出された食事を感謝して食べた」
 普段は寡黙で厳格な父が口を開いて戒めた。私が10歳時の我が家の風景だ。
 社会人になり外食が増えた。味付けが口に合わなくても、注文した料理はきれいにいただいた。ラーメンのスープも飲み干す。調理してくれた人と食材の「いのち」に感謝を込め、亡き父母へのわびの心でいただく。
  鹿児島市 吉松幸夫 2011/3/14 毎日新聞鹿児島版掲載

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