はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ワラスボも金

2007-12-31 11:32:27 | はがき随筆
 「ワラスボも金。睦美ちゃんにとっては宝物」と孫の遊び散らかしたものを大切にしてくれていた母。ひん曲がった折り紙、ちびたクレヨン、チラシの裏に書きなぐった宇宙人さながらの自画像、幼子の目に映った草や木や花や小鳥や犬や猫。
 〝取っておき魔〟の母の遺品をエイヤッと焼きながら、数枚を抜き出してコピーした。特製の便せんの出来上がり。母の残してくれた愛の形である。
 とっくに自立、めったに里帰りしない娘にせっせと手紙を書いた。照れくさいのか、娘は便せんのコピーの絵には、知らんぷりを決め込んだ。
   鹿屋市 伊地知咲子(71) 2007/12/30 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿