はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

田の神さあ

2006-02-16 18:02:48 | はがき随筆
2月15日
 九州自動車道北インター近くの高架橋の下に、車の行列を見る田の神さあが居られる。風化を続ける永遠の微笑、汚れた野菊の供花がわびしい。
 この付近、1960年代には甲突川の水利を得て、夏は植田から青田、秋は実りの黄金色、冬は刈田、稲架の風情が、田の神さあの視界を満たしていた。
 いま、豊かな水田のかけらも見あたらない、すごい変ぼうだ。
 あの懐かしい風情は再び帰って来ない。田の神さあは、何を思っているだろうか。排気ガスと振動にとまどっているのかも。
   鹿児島市伊敷 福元 啓刀(76)


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1 コメント

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慈しみ (わいわい)
2006-02-17 09:31:35
田の神さあはそれでもあの素朴な笑顔を浮かべながら許してくださるかも。そんなふるさとに帰ってきたときのほっとする雰囲気を備えていらっしゃいます。
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