チュニジアの首都チュニスにある国立博物館が襲撃され、外国人観光客ら23人が凶弾でなくなったテロ事件。更に、フランス南部の山中で機体が粉々になって見つかったドイツ旅客機墜落事故。世界で悲惨な事件が相次いでいる。どちらも犠牲者の中に日本人が含まれていた。遺族の胸中を思うと「なぜだ」と強い憤りを隠せない。読者の皆さんも、いや私だって被害に遭っていたかもしれない。
1995年3月20日、東京で起きた地下鉄サリン事件。猛毒の神経ガスを使った同時多発テロで13人が死亡、数千人が負傷。20年前、私は鹿屋通信部の記者だった。ニュースを見て、東京にいる親戚や知人らに片っ端から電話をかけ続けた。死者、重傷者に家族や知り合いがいたらどうしよう……。誰もが心を痛めた無差別テロ。宗教や主義、主張が異なるからといって、人を殺すなんて決して許されない。ドイツ機の事故も副操縦士について様々な報道があるが、徹底した真相の究明が待たれる。なんの関係もない他人を巻き込む行為はもうこりごりだ。
死者57人、行方不明者6人を出した御嶽山(長野・岐阜県)の噴火から半年。これも昨年9月の行楽シーズンに起きた。まさかの惨劇だった。
3月29日、鹿児島市の甲突川沿いで多くの人が桜を楽しんでいた。午後3時すぎ、桜島の噴煙が空高く上がった。今年に入り、桜島が活発になっている。過去の歴史を見れば分かるように、桜島のエネルギーはすさまじい。県民なら誰もが知っている。警戒や対策を怠らないようにしたい。
4月だ。進学や就職などで心機一転、鹿児島で新生活をスタートさせる人も多いはず。桜島の降灰は時にやっかいだが、でもそこは「桜島あっての鹿児島」。明治という新時代を開いた先人や歴史。自然を学び、鹿児島を体感してほしい。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/4/2 毎日新聞鹿児島版掲載
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