「イターイ」と泣き叫ぶ私の声を聞き、近所のおじさんが駆けてきた。「あー、耳が切れている! 動くな」と、自転車を取りにいった。おじさんは私の耳に、もんだヨモギを当てタオルで縛り、自転車を走らせる。痛がる私を励まして30分後に父が勤める会社の病院に付いた。
父の顔を見て泣きじゃくる私に父は「泣くな!」と一喝。父が怖くて、長く太い針での麻酔なしの縫合に耐えていた。
庭のヨモギを見ると68年前、溝の縁を滑り台代りに滑っていて転がり、地面の石で右耳の半分を切った私を助けてくれたおじさんの顔が浮かぶ。
出水市 清田文雄 2013/7/17 毎日新聞鹿児島版掲載
父の顔を見て泣きじゃくる私に父は「泣くな!」と一喝。父が怖くて、長く太い針での麻酔なしの縫合に耐えていた。
庭のヨモギを見ると68年前、溝の縁を滑り台代りに滑っていて転がり、地面の石で右耳の半分を切った私を助けてくれたおじさんの顔が浮かぶ。
出水市 清田文雄 2013/7/17 毎日新聞鹿児島版掲載
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