夜明け前、アブシンベル大神殿に向かう。近道は砂と岩で娘のペンライトに助けられる。
4体の巨大なラムセス二世像に訪ねる。「何を考えておいでなの?」。けれど夕べ、めくるめき音と光のショーで怒濤の人生をうたいあげた王は、3000年の瞑想の世界に戻ってしまっていて口を開かない。
右の方、王妃ネフェルタリの小神殿の奥で小鳥がさえずり始めた。いよいよだ。
ナーセル湖から緋色の太陽がゆらゆら昇り始める。
大神殿の至聖所に光が届く。
「おーっ」。四方八方から声があがった。
鹿屋市 伊地知咲子 2011/3/1 毎日新聞鹿児島版掲載 写真はフォトライブラリより
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