長い間見慣れてきた庭前の花の名が出てこないことがある。ははぁ、私も認知症の入り口に来たなと思う。そこで回想法が認知症予防に有効であると聞いたので、大阪在住の姉と毎日のように電話で追想談を交わした。ところが、姉の入院で昔話は中断のやむなき次第となった。幼年時代の回想は尽きることなく、八十路の私を若返らせる。そこで記録を思い立ち、毎日原稿用紙1枚ずつ書いていたら100枚近くなった。読み返すと父母在りしころの幸福の絵を見るようで楽しい。又、人間の脳の収蔵量にも驚き、考えさせられる記録となった。
肝付町前田 竹之井敏(81) 3月17日掲載
肝付町前田 竹之井敏(81) 3月17日掲載