今宵は照明弾も焼夷弾もなく戦を忘れさせてくれる美しい月夜。宿泊している巡洋艦の乗員の青年たちは故郷の母や家族を語り合った。別れ際に空を仰いだ瞳に月が映え一筋の涙。私はその夜なかなか眠れなかった。
翌日、停泊中の艦は集中攻撃を受け自爆のおそれが生じた。退艦命令はでない。弾薬庫の中の彼らを救出できないままハッチは閉められ、自爆は免れたが、赤く染まった海は帰らぬ人々の山だ。
六十年経ても、夏がくると、瞳の中の月と赤い海の悲しい記憶がよみがえる。
薩摩川内市 上野昭子(78) 2007/8/14 毎日新聞鹿児島版掲載
翌日、停泊中の艦は集中攻撃を受け自爆のおそれが生じた。退艦命令はでない。弾薬庫の中の彼らを救出できないままハッチは閉められ、自爆は免れたが、赤く染まった海は帰らぬ人々の山だ。
六十年経ても、夏がくると、瞳の中の月と赤い海の悲しい記憶がよみがえる。
薩摩川内市 上野昭子(78) 2007/8/14 毎日新聞鹿児島版掲載
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