日脚が伸び、ツルたちのシベリアへの北帰行が盛んだ。
おじさんがシベリアからの復員兵だったことは、大人たちの会話から聞き知っていたが「アカに染まって帰ってきた」というその意味を理解したのは私が大人になってからだった。おじさんは親戚の中でも少し浮いた存在だった。生涯独身を通し、つつましく生きておられた。穏やかな人柄で、抑留の体験も直接聞いたことはない。
毎冬シベリアから渡ってくるツルをみて何を思われたのか、どんな記憶を封印されたのか。今となっては知りようもないが近ごろ気になって仕様がない。
出水市 清水昌子 2018/3/7 毎日新聞鹿児島版掲載
おじさんがシベリアからの復員兵だったことは、大人たちの会話から聞き知っていたが「アカに染まって帰ってきた」というその意味を理解したのは私が大人になってからだった。おじさんは親戚の中でも少し浮いた存在だった。生涯独身を通し、つつましく生きておられた。穏やかな人柄で、抑留の体験も直接聞いたことはない。
毎冬シベリアから渡ってくるツルをみて何を思われたのか、どんな記憶を封印されたのか。今となっては知りようもないが近ごろ気になって仕様がない。
出水市 清水昌子 2018/3/7 毎日新聞鹿児島版掲載