年に2回、編集者の松田素子さんの授業があります。
本日は1回目の授業ですので、松田さんが編集された絵本のお話がメインでした。
始めに絵話塾卒業生の山本暁子さんが、BL出版から出版が決まったので、少しお話を聞かせていただきました。
何年か前から松田さんの授業で、ダミー本を発表しては「んー、惜しいところまできているのに・・・」と、松田さんに講評されては、ダミー本を描き直してのくり返しだったそうです。
山本さんは眠れない日もあったそうですが、いつか松田さんに認めてもらえるよう頑張った結果、やっと出版が決まりました!
ほんとにおめでとうございます。書店に山本暁子さんの絵本が並ぶ日が楽しみですね!
では、松田さんが編集された絵本とダミー本も見せていただきながら、制作の苦労などをお話していただきました。
『そらまめくんのベッド』なかやみわ 福音館
出版された絵本の絵とダミー本の絵と見比べてみました。さて、どこが違うでしょう?(下がダミー本の絵です)
下のダミー本の絵は、草がほとんど同じですが、上の修正した絵には、たくさんの種類の草があり、そらまめくんの生きている世界が表現されています。
なかやさんは実際にそらまめを育て、そらまめくんや他の登場する豆たちの性格や家の設計図までも細かく設定していったそうです。
いい作品には、作品の根の部分(見えない部分)がしっかりしているのです。
『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』長谷川義史 BL出版
長谷川義史さんのデビュー作です。
登場人物だけでなく時代が主人公なので、時代背景を細かく描くようにお願いし、何度も何度もダミー本を描き直して出来上がった絵本だそうです。
出版された後、ダミー本を何度も描き直したことについて「がっかりしたと同時にホッとした。もう一度、描き直せると思った」と、長谷川義史さんのエッセイに書かれていたのだそう。
絵本は出版してしまえば、自分から離れていきます。なので納得のいくまで描き直し、後悔のないようにしていってほしい。と、松田さんはおっしゃっていました。
『ぼくのかえりみち』ひがしちから BL出版
小さい頃に誰もが考えたことのある「白い線の上を歩く」というルール、これを絵本にした人がいなっかったのが不思議なくらいです。
この絵本は主人公と一緒に白い線の上を歩いているという、読者に共感させること。
最初のページをどう描くかが大切です!
ダミー本の段階では、横からの絵になるので、読者は主人公を見ているだけになるのです。
実際の絵は背景がなくて白い線だけで緊張感のある絵になっています。
インパクトのある大事なページですね。
後半はダミー本の発表と講評をしていただきました。
絵本は結果だけでなく、それまでのプロセスが大事です。
主人公が違う世界に行くなら、どうしたらその世界に行けるのかまでのプロセスを、しっかり書かないといけないのです。
最後に「絵本は読むだけでなく、絵をしっかり読んでください。何度も読むと絵の中に気付くことがたくさんありますよ」と松田さんからのアドバイスがありました。
次回2月17日(水)はダミー本の発表と講評をしていきます。
頑張ってダミー本を完成してきてくださいね。