本日の高科正信先生の授業テーマは、「死と再生の絵本」です。
子どもの文学には、触れてはいけないタブーのテーマがあります。
例えば、離婚・暴力・老い・死などです。
作家の中には、あえてそのテーマに挑んでいる作品があります。
『二人のロッテ』1949年 ドイツ 作:エーリッヒ・ケストナー
この小説は、両親の離婚によっても不幸だが、両親が離婚しない場合によっても不幸な子ども達もいることを伝えています。
『モモちゃんとアカネちゃん』1974年 作:松谷みよ子
『ちいさいモモちゃん』(1964年~)シリーズの中で、上記の作品は離婚について描かれています。
『タンポポコーヒーは太陽のにおい』1988年 理論社 作:高科正信/絵:大沢幸子
高科先生のデビュー作のこの本は、男性ばかりの三世代を描いています。
徘徊するおじいちゃんを縛る場面も描かれているそうです。
今回紹介された絵本です。
『ひのたま』 1994年 架空社 作絵:田村勝彦
『ぼんさいじいさま』 2004年 ビリケン出版 作絵:木葉井悦子
『じいじのさくら山』 2005年 白泉社 作絵:松成真理子
『カボチャありがとう』 1994年 架空社 作絵:木葉井悦子
『おなかのすくさんぽ』 1992年 福音館 作絵:片山健
『きつねのおきゃくさま』1984年 サンリード 作:あまんきみこ/絵:二俣英五郎
どの作品も子どもにもわかりやすく、そして重くなりすぎないよう軽さも持たせつつ
描いています。
目をそむけないで、必要以上に良くは描かず、抑えて描く。
子どもの文学で、タブーに挑むということは
生半可なことでは決してない、描く側の決意がないと描けません。
創作には3つの動機があります。
1.何を描くのか
2.なぜ描くのか
3.どう(いかに)描くのか
全て大事ですが、3番目のどう描くのかがポイントです。
今回のテーマ「死と再生の絵本」は、
つまり「死」を描くことで「生」をあぶり出すということ。
死から生きることを伝えているのです。
子どもの文学は、向日性の文学と言われています。
希望の文学とも言えるのではないでしょうか。
次回は、今回のテーマに続いて「生」の絵本についてです。
課題が出ています。
自分の好きな絵本についての推薦文、又は書評を原稿用紙に千字で書いてきて下さい。
締切は1/31(日)に教室で集めます。
よろしくお願いします。