絵話塾だより

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2020年1月31日(金)文章たっぷりコース6回目の授業内容(高科正信先生)

2020-02-01 22:18:52 | 文章たっぷりコース
文章たっぷりコース、第6回目の授業は盛り沢山でした。
まず、いつものように高科先生が “つかみ” のお話をされます。

この冬は暖かいので、先生のお家の近くで、もうウグイスが鳴いていたそうです。
「ホーホケキョ」と鳴くウグイスはオスだけ。
それも、一定の広さ(縄張り)の中で一番強いオスだけなのだそうです。
メスは「チッチッ」としか鳴けないし、弱いオスは声を出さないのだとか。
だから、「ホーホケキョ」と声高らかに鳴いているオスの近くには
メスや、鳴きたくても鳴けないたくさんの弱いオスが居ることになります。

皿海達哉(さらがいたつや)という少年ものを得意とする児童文学作家は、
自らの著書のあとがきに、鳴けないウグイスのように、
特別な能力を持った子どもではなく、どこにでもいる
たいしたことはできないけど、毎日を生きている
ありふれた子どもの話を書きたいと記していたそうです。

高科先生はそれを読んで、強い印象を受け
ご自分がどんな物語・作品を書いていこうとするかの指標になったとおっしゃいます。
それからはウグイスの鳴き声を聞く度に
他にいろんなウグイスが居ることを思い出すのだそうです。

皆の心がグッときたところで、教科書から
スティーブ・ジョブズのプレゼンについての続きを。今日は解析です。

いろいろ興味深い項目がありましたが、中でも、
「物語を始まり・真ん中・終わり、という3つの部分に分ける」とか、
「ネタバレしないけれど、中味を想像させる魅力的なタイトルを付ける」
「冒頭に興味を引くようなフレーズを持ってくる」などは
なるほど、と納得させられました。



そして、工藤直子の作品を朗読してもらいました。
彼女は博報堂のコピーライターを経て詩人になった人で
言葉の選び方が素晴らしいということでした。



休憩をはさんで、灰谷健次郎の『せんせいけらいになれ』から
「いのちがあと5日しかなかったら」という3年生の作文を見ていきました。
子どもたちなりに「死」についてそれぞれ考えていて、深いものがありました。



その後、新聞に掲載された『日本一短い手紙』シリーズのなかから
「いのちの終わりに3日ください」という作品を紹介してもらいました。



一日にしたいことが、一行に一つずつ書いてあり
単純化された文章なのに、書いた人の思いが伝わる手紙でした。

詩や俳句は、短い文章で効果的な表現ができる。
言いたいことを全部言うのではなく、そぎ落とすことから始めよう。
山の上=山頂、海の底=海底のように、同じものを表すのに違う言葉があり、
自分にとって大切な言葉を選ぶためには、練習が必要で
何を伝えたいかによって、使う言葉も変わってくる、等々。
これから文章を書いていくうえで留意すべきことを教わりました。

最後に、今回出された課題のテーマは、「わたしは○○でできている」です。
(以前流行した、脳内メーカーのようなイメージです)



今回は使う文字や文字数の制限もないので、気楽に書けます。
何に興味や関心があって、なぜそうなのかを考えていくと
そぎ落として作品にできるのではないか、ということです。
ちなみに今日紹介していただいた工藤直子さんは
「わたしは記憶でできている」とおっしゃっているそうです。

次回の授業は2月7日ですので、課題の提出は次々回21日になります。
よろしくお願いいたします。

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