絵話塾だより

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2020年2月21日(金)文章たっぷりコース8回目の授業内容

2020-02-22 17:54:48 | 文章たっぷりコース
文章たっぷりコース、今日はレギュラーの授業となりました。

まず、先生からのお詫びがありました。
前回出された課題について、言い忘れたことがあったそうで
最後の一文が「わたしは かみさまと しずかに はなしをした。」で終わる文章、
と聞いていましたが、その前に「はるのひととき、」を追加する、とのことでした。
漠然としていたイメージが、この言葉が入ることにより
一気に輪郭が明確になって、書きやすくなった気がします。
言葉ってすごいですね!



ということで、今日の「つかみ」のお話は、確定申告についてでした。

本の印税は、通常は1冊売れたら作家に定価の10%が入るようになっています。
文章だけの本なら、作家に全額入りますが
絵と文を違う方が担当される本では
文章に挿絵が付く場合、だいたい文7:絵3
絵本の場合は文5:絵5の割合で分配されるそうです。(例外もあります)

印税以外に、著作権使用料というのもあります。
出版された書籍の一部を、例えば教材や問題集に使用する場合に発生します。
日本文芸家協会が窓口になっており、細かい規定もありますが
教育目的に使用するのであれば、多くても1件あたり2,000円程度だそうです。

職業作家を生業とするのも、なかなかシビアなのですね。

授業の前半は、教科書(高橋源一郎さんの『まちがいだらけの文章教室』)から



「ない」ものについて書いてはいけない
「ある」ものについて書かなきゃいけない についてでした。

朝吹真理子さんの『流跡』という、漢字を多用した難解な文章と
一般の人がすっきりと書いた『10年後に読みたい、ちょっといい話』を読んで、
上手いけど訳の分からないものと、言いたいことを極限まで削って
いちばん言いたいことをきゅっとまとめたもの
対照的な2つを比較して、自分達が目指す文章の方向性を考えました。



その後、工藤直子さんの『こころはナニでできている?』から、
彼女が10歳の時、「わたしはわたし」だと気付いた時のお話と
1997年に萩尾望都さんが朝日新聞に寄せた4編のエッセイ
〜それぞれ小学生・中学生・高校生・漫画家になったばかりの20歳の頃の話〜
を読み、8〜10歳くらいまでは子ども時代がいつまでも続くと思っていて
自分は無限の時間を所有していると信じていたという感覚を思い出しました。

休憩をはさんで、前回から始まった推敲についてのお話しです。



実際に、高科先生の作品『はしをわたってしらないまちへ』の場合は
どうのように進めていったかを見ていきました。
最初は、白い紙に殴り書きのように見開きごとの文章を書いてみて
言葉を足したり引いたりしながら30回位書き直し
絵を担当される方も何度もラフを描き直し、ようやく決定稿に辿り着いたのだそうです。
最初に書かれていた、主人公の家族のエピソードは
本文中ではなく、扉ページの下部にレイアウトされたそうです。



最後に、高科先生の『ぼっちたちの夏』から抜粋した文章が使われている
学習塾の小学4年生用の国語の問題をみんなで解いてみました。
これが結構難しい! 久しぶりの国語のテストに悪戦苦闘でした。



高科先生の文章は、主語と述語の関係を分かりやすく書くように心がけているため
国語の教材に使われやすいみたいだ、とおっしゃっていました。

最後に、辰濃和男さんの『文章のみがき方』から、前回の続きで推敲について。
太宰治の「途方に暮れた場合は削れ」を学びました。
書いた文章を極限まで削ることにより、文章の本質が浮かび上がるそうです。
井伏鱒二は26歳の時に『山椒魚』を書いたのですが、
88歳になって自選全集を発行する際、結びの部分の約500字を
ばっさり削除したのだそうです。
62年経っていても、作家はしぶとく自作を練りあげるのです。

次回提出の課題は既に出ているため、今回は新しい課題はありませんでした。
「はるの ひととき、わたしは かみさまと しずかに はなしをした。」で終わる文章を
迷ったら削りながら、仕上げてきてください。

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