絵話塾だより

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2021年3月13日(土)文章たっぷりコース第9回めの授業内容・高科正信先生

2021-03-15 22:28:01 | 文章たっぷりコース
3月に入りましたね、ということで今日はイカナゴの話から始まりました。
釘煮を炊く香りは神戸の春の風物詩だったのに、ここ数年は不漁続きで残念だとのこと。
いつも季節の移り変わりについて話題にされる先生は、何気ない日常の中での気付きを大切にしておられます。
文章を書くということは、小さな変化や感動をていねいに掬いとって形にすることでもあるのだと
先生のお話を聞くたびに思います。



今日もまず、テキスト『書く力』(池上彰・竹内政明/朝日新書)から、
・季節感の出し方
・自分の文章は、時間を置いてから読み直す
その他、を見ていきました。

日本列島は南北に長いため、例えば桜が咲いたりや梅雨入りも一斉ではありません。
それを踏まえて文章を書かないと、おかしなことになるというのです。
しかし、どの地方のことを書いても他所では矛盾が出てしまうので
それを配慮して、文章の中に逃げ道を作る(「多くの地方では」などと入れる)のも
良いのではないかとのことでした。

そして、どんな文章でも少し時間を置いてから読み返し
おかしいと思うところを書き直して仕上げるのが良いそうです。
時間を置くことで、自分の書いたものを客観的に見ることができるようになり
改善点が見つかるのです。それは文章を書くうえで必要で、大事なことです。

そこで、まど・みちおさんのことを紹介していただきました。
童謡「ぞうさん」などで知られる まど さんは、
2014年に104歳で亡くなるまで、やさしく深い言葉を紡ぎ続けた詩人です。

そのまどさんの「ヤギサン ユウビン」(1936年版)と「やぎさん ゆうびん」(1951年版)
を比べて、どこがどんなに変わったかを見ていきました。
初めは黒ヤギさんと白ヤギさんではなく、ヤギの親子の話だったので驚きました。
こんなふうに、時間が経てば変更したいところが出てくるのだそうです。



休憩を挟んで、前回の課題「絵本のテキスト(一週間絵本)を書く」について考えました。
絵本にはいろんなタイプのジャンルがあります。
文章がないものや少ないものの例として、長 新太さんの
『ちへいせんのみえるところ』と『にゅーっ するするする』を読み聞かせしてくださいました。




これは絵も文も同じ人が書いているので、できる作品だろうということでした。

次に、絵詞(えことば)作家・内田麟太郎さんの『ぽん ぽん』(さく・内田麟太郎/絵・畑中純)も紹介してくださいました。
この作品に関しては内田さんご本人にト書きについて訊いたことがあるそうで、
内田さんは全部のページにト書きを添えて絵の担当の方に渡すという答えだったそうです。




高科先生はほとんどト書きなしに絵の担当の方に渡すそうで
『はしをわたってしらないまちへ』のラフスケッチやダミー本などを見せていただきました。



人によっては、絵コンテを描く人もいたり



出版社から束見本(白紙を閉じた本)をもらって、そこに描いていく方もおられるそうです。

肝心なことは、ダミー本を何度も描き直して文や絵を微妙に修正している、ということで
時間を置くと細かい修正点が見えてくるということです。

その例として、先生の『たまのり おたまちゃん』の原稿と、実際の絵本の違いを見ていきました。
見せていただいた原稿には、編集者からのコメントも入っています。



絵本作家はたいへんな思いをして書いているのだということが伝わりました。

それから一週間絵本の例として、片山健さんの『7日だけのローリー』を読み聞かせてくださいました。



片山さんのように、登場人物の気持ちが読み手に伝わるようにていねいに作ることを心がけましょう。

そして今回の課題は、前々回に続いて「絵本のテキストを書く」です。
一度書いてみて分かったことを踏まえて、今回のテーマは「さんぽ絵本」です。
①主人公が散歩に出かけ ②何か・誰かに出会い ③一悶着・一段落あってまた散歩を続ける
④また何か・誰かに会って ⑤何かが起こる(起こす) ⑥また散歩を続ける ⑦何か・誰かに会う…を繰り返し
最後に ⑧ただいま〜散歩の終わり  という、ストーリー性のあるお話を作ってください。



今回も15見開き(32ページ分)で、絵コンテ・ト書きなどをどうするかは自由。必要なところだけ入れるというのもアリです。
漢字を使っても良いですが、基本はひらがなで。(分かち書きにはしなくても良い)
絵本の対象年齢は小学生くらいまで(大人向きではない)、ということでお願いします。

また、一文の長さは2〜3行までを目安に。
高科先生の場合、絵本のテキストは原稿用紙におよそ6〜10枚くらいで書いているということです。
せっかく絵本について勉強したので、「これでどうだ!」というものにチャレンジしてみてくださいね。
よろしくお願いいたします。

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【3月の絵話塾ガイダンス】

・3月21日(日)17時〜

なお平日も午後1:00以降ならお好きな時間にガイダンスを行いますので、
参加ご希望の方は来られる日時をお知らせください(ガイダンスの所要時間は1時間30分程度です)。

お問い合わせやガイダンスに参加をご希望の方は TEL078-332-5808または、
こちらのメールフォーム からお願いします。

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