高科正信先生の授業2回目は、「ここの絵本ーリアリズムの手法」がテーマでした。
物語にはリアリズムとファンタジーの二種類があります。
リアリズムが現実世界なら、ファンタジーは空想世界です。
現実世界と空想世界を、行って帰ってくることができるのが子どもです。
高科先生の著書で『たぬきがくるよ』BL出版 がありますが、主人公のわかばは、ウサギ穴に落ちたり、すべり台を滑ったりして、空想世界に行きます。
マリー・ホール・エッツの『もりのなか』も、子どもは森の動物と遊ぶことができます。
子どものときに見えていたものが、大人になると見えなくなり、これが成長することなんですね。
今回のテーマ「リアリズムの手法」では、現実・日常の話になります。
まず紹介されたのが『大阪ハムレット』森下裕美 2006年(双葉社)
大阪の岸和田が舞台となった人情話で、映画化にもなっています。
どこにでもいる無名な人々の日常をすくい上げて、丁寧に物語がつくられています。
その気持ち、よーわかる!と思う書き方をされていています。
高科先生もこのようなお話を書いていきたいとおっしゃっていました。
『ムギと王さま』エリナー・ファージョン 1959年 (岩波少年文庫)
短編集の中の『サン・フェアリー・アン』は第二次世界大戦の頃が舞台です。
お城に住む母が娘に人形をプレゼントしますが、その人形にまつわるお話。
エリナー・ファージョンは多くの作家から人気があります。
『物語が生きる力を育てる』 脇明子 2008年 (岩波書店)「ひたすらな願いの魔法」では、ファージョンのファンタジーとリアリズムについて分かりやすく書かれているので、高科先生がお薦めされていました。
高科先生の大好きな絵本作家・片山健さんの作品も紹介されました。
『コッコさんのおみせ』 片山健 1988年(福音館書店)
こちら側の世界(現実世界)にいながら、怪獣と戦いあちら側(空想世界)に入る。
現実世界にいながらも空想世界にすぐ入ることができるコッコさんの日常を描いています。
他にリアリズムの手法で書かれた絵本を紹介していただきました。
『つめたい あさの おくりもの』 片山令子 文 片山健 絵 2018 (福音館書店)
『たいよう でてきたぞ』 大橋政人 文 松成真理子 絵 2019 (福音館書店)
リアリズムの話では、ありふれた日常に潜む幸福を追求できます。
これはファンタジーの話では書けません。
高科先生の『プレゼントはひとつ』では、子どもが空想の中で、どんなことを思えば最大のプレゼントをもらうことが可能なのかを書かれています。
『プレゼントはひとつ』の折り込みふろくの中に、高科先生のメッセージが書かれていますので、ぜひ絵本と一緒に読んでいただきたいです。
次回の課題です。 2月14日(水)提出
・ストーブ ・ラッパ ・やきビーフン
この3つのことばを使って、お話を作ってください。
・5、6歳の子どもが読む設定で、ひらがなで書いてください。
・原稿用紙5枚以上
・主人公は誰でもよい
次回は「ファンタジーの手法」がテーマです。