6月に行こうと思っていた「熱海五郎一座」の公演がコロナで中止となってしまったので、新橋演舞場は今年初めてかもしれない。
故杉浦春子さんが1945年~1990年まで演じ続けたという「女の一生」を大竹しのぶさんが引き継いだ。
「布引けい」という一人の女性の
日露戦争のあとの1905年から第二次世界大戦後の1945年までの40年を描いている。
大竹さんは家族を失い、親戚を追い出され、堤家に助けられ女中奉公に入る。
夫を亡くし、貿易業を引き継いだ女当主は銀粉蝶さん。
当主を助ける夫の弟が風間杜夫さん。
この家の長男伸太郎が段田安則さん。
次男栄二が高橋克実さんだ。
大竹さんの最初の登場は10代。
10代の少女はちょっときびしいかな、と思ったけど、さすが大竹さん、それほどの違和感はない。
でも男性陣はさすがにちょっと・・・
段田安則さんの学生服はともかく
髪の毛がふさふさの高橋克実さんの学ラン姿はなんだか笑えてしまう。
年を重ね、当主に才覚を見出され、商才が無い長男との結婚話を断れずに、結婚して商売にのめりこんでゆく。
実は次男とお互いにほのかな想いを抱いていたのに・・・。
子育てもそっちのけで仕事に励み、夫も娘も離れていき・・・
やがて戦争でなにもかも失ったときに、栄二が戻ってくる。
なんとなく二人の明るい未来を感じながら幕が下りる。
「正しい演劇」を観たな~と思う。
高校生くらいが授業の一環で観劇に来るような・・・。
見ず知らずの少女の「けい」を家に入れ、信頼を寄せ、商才を見抜く女当主の銀粉蝶さんの品格と威厳はさすが。
その期待が重すぎて、自分の気持ちを言えないつらさ、さびしさが「けい」の大竹さんから発せられていて切ない。
それをわかっていて、当主亡き後も、そっとフォローする義理の叔父(風間杜夫さん)の懐の深さ。
もしかしたらけいに想いを寄せているのかな、なんて思ってしまう。
自分に商才が無いことへのコンプレックスで家を出てしまう夫伸太郎(段田さん)のちょっと卑屈な感じとうしろめたさ。
けいの本当の気持ちを知らずに、傷ついて恨みすらする次男栄二(高橋さん)の純粋さ。
ベテランの皆さんは、さすがです。
実は個人的にはそれ程行きたいとも思ってなかったのだけれど、
友人に誘われて、LUXAというチケットサイトで、ディスカウントチケットをゲット。
13000円が7800円はなかなかお得。
花道のすぐ横の席だったので、ちょっと楽しみだったのだけれど、ソーシャルディスタンスなのか今回は花道は使わない演出。
ちょっと残念。
残念と言えば・・・
幕間のお弁当が食べられないこと。
途中、30分の休憩があり、いつもはここでお弁当を食べる。
劇場内の売店や、劇場の外でも売っていて、普段食べることの無い幕の内弁当などを食べるのもお楽しみの一つ。
しかし、コロナ禍で客席での飲食は禁止。
劇場内のお蕎麦屋さんか仕出し弁当をあらかじめ予約しておけば、決められた場所で食べられるという。
こんなことになったら当然のことだけれど、劇場の真ん前にあったお弁当屋さんが無くなっていた。
ずっと休演してたし、上演してもこの様子では仕方ないとはいえ、ちょっと残念。
コロナの影響は計り知れないなあ、と実感する。
このところ、またまたコロナの感染者数が増えてきた。
誰もが初めてのことで、何をどう気をつければいいのかわからない。
頑張って働いて、チケットを買って、お芝居を観ながら美味しいお弁当を食べて・・・
という時間が遠い昔に感じる。
一日も早い終息を願うばかり・・・。
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