ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】くちづけ2015

2015年10月11日 | 演劇
心が震えたというか、切ないというか、やり切れないと言おうか・・・。

観終った後の無力感とでも言おうか・・・。

ただただ、涙が流れ落ちる。

限りなく優しく、辛いお話だった。
10年ほど前に実際に起こった事件がモチーフになっているという。


舞台は知的障がいを持つ大人たちが暮らすグループホーム「ヒマワリ荘」
地域で小児科を開業している、お医者さん一家が経営している、アットホームな施設だ。

妻も高校生の娘も、入所者達に家族のように接し、笑顔が絶えない。
近所の交番のお巡りさんもちょくちょく顔をだし、温かく見守っている。

ここに、同じく知的障がいをもつ、マコちゃんが新たに仲間に加わる。
昔ヒットをとばしたものの、今はほとんど活動を休止している「愛情いっぽん」と言うペンネームの父親と一緒。

父親はこの施設で住み込みで働くこととなり、いつもマコちゃんのそばにいる。

辛い経験から成人の男性が近くに来るとパニックを起こすため、普通の施設に入れないマコちゃんも
ここの人たちの前では大丈夫なので、父親も一安心。

入居者の中でも、ひときわ明るく優しいうーやんとクリスマスに結婚しよう、と約束をしたマコちゃんは
その日を待ち焦がれていたけれど・・・。

天使のようなマコちゃんをアイドリング!!!11号とやらの森田涼花さんが好演。
無垢な笑顔が本当に可愛らしい。

そんなマコちゃんを慈しみ、心からの愛情を注ぐ父親に金田明夫さん。
マコちゃんを優しく見つめるまなざしと、これから自分たちを待ち受ける過酷な運命に苦悶する表情が
なんとも切ない。

明るいうーやんは宅間孝行さん。
彼を支える妹、ともちゃんに上原多香子さん。

施設の経営者でお医者さんを大和田獏さん。
その奥さんでみんなの母親代わりのまりこママをかとうかずこさん。
彼らの娘で、入居者たちにまるで兄弟のように接するのが中村有紗ちゃん。
「天才てれびくん」に出ていたらしい。

きれいごとを言わず、口は悪いがみんなのことを誰よりも冷静に平等に見ている住み込みの寮母さんに柴田理恵さん。
勤務中にお酒を飲んだり、とやることはめちゃくちゃだが、とにかく温かい。

さて今回の舞台には障がい者役のひとりとして、本当に障がいがある女優さん、町田萌香さんも出演されている。
180cmの長身で抜群のスタイルの町田さんはモデルもされているらしい。
最後の舞台挨拶もしっかりとしていて、宅間さんがおっしゃるまで障がいがあるとは思って観てなかった。


カラダは大人だけれど心は純真な子供のままの人たちやその家族は、実にさまざまな事情を抱えている。
ともちゃんは、うーやんのような兄がいるからと言う理由で、結婚の話がダメになってしまったり、
別の入居者しまちんは、障がい者手当を親が使い込んでしまい、家賃を払えずにグループホームを後にすることに。
この辺りからじわじわと不穏な空気が流れはじめる。

やがて、経営難からホームは閉鎖されることに。

屈託のない入居者の周りで、関係者たちは苦悶し、無力感にさいなまれ・・・。

だんだんと、観ているこちらも、関係者のような錯覚に陥り、どうにかならないのかしら、なんて本気で思ってしまう。

劇中、おまわりさんがこんなことを言う。
「日本国内で知的障がいを持つ人は2%、けれど刑務所内では25%、生きる術を持てない人たちが、そうとはわからないまま犯罪者になってしまう現実がある」
それに対し、いっぽんが絞り出すような声で言う。
「彼らはやってないことでも警察に強く言われたらやったと言ってしまう。ホームレスの中にもそういう障がい者はたくさんいる。
生きる術を持たない人たちが普通に生きていける世の中であるべきではないか」と。

実は彼は癌で余命を宣告され、残されたマコちゃんが、犯罪者になったりホームレスになったりするのではないかと、
心の底から案じていた。
ホームの閉鎖も決まり、マコちゃんの行き場も見つからず、追い詰められた父の選択はあまりに悲しい。

みんなが去ったホームの中に二人で残り、父はマコちゃんのおでこに優しく口づけした後、手を首に回して・・・。

そこで、もう涙が止まらないのに、映画のタイトルバックのような映像で、
うーやんと結婚して幸せそうなドレス姿のマコちゃんが写しだされ、また涙が・・・。

最初にも書いたが、これは実際にあった事件がモチーフになっている。

こんなに頑張って生きている人たちを救うこともできずに、何が一億総活躍だ、と言いたくなる。
政治家の皆さんは、もっと自国の足元を見ることはできないんだろうか。

などと余韻に浸っている暇もなく、舞台の上はカーテンコールを終え、出演者の皆さんによるダンスが始まる。
そうだ、これはタクフェスだった。
開演前のふれあいタイムにレクチャーされた振付を観客もやらねばならない。
泣いてなんかいられないのだ。

タクフェスの観客サービスは、すばらしい。
開演前、結構ギリギリまで出演者がステージに出てきて、パンフレットなどを買った人たちにサインをしてくれたり、
ツーショット写真を撮ってくれたり。

 


私もついつい。



舞台上ではちょっと感じの悪い女子高生役のハレルヤまつこさんが観客たちとじゃんけん大会。
楽屋の差し入れのジュースをサイン入りでプレゼント、なんていうのをやっている。



上演中も飲食自由でポップコーンなども売っているし。

さらに上演途中にみんなで記念写真って言うときには観客も撮影可



ちゃんと色んな方を向いてくれるし。

終演後、ダンスの発表で大和田獏さんなどはフラフラだったが、
鳴り止まぬ拍手に、もう一度全員でアタマから踊ってくださった。

楽しく、悲しく切ない舞台だった。

来年は「歌姫」という公演が決定してるとか。
ホントに楽しみ。

18日までです。
ご興味のある方はお早めに


















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