ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

観劇メモ「広島ジャンゴ」

2022年04月24日 | 演劇

【広島ジャンゴ】

作・演出 蓬莱竜太

於 シアターコクーン

2022/4/20

 

コロナが落ち着いたわけではなく、高止まりのままだけど

なんとなく世間は日常を取り戻しつつあるような・・・

 

上演中止や休演が相次いでいた演劇もわりと普通に上演され

一人おきに座っていた客席も、いつのまにか以前のように

びっしりくっついて座っている

 

ということで私もボチボチ観劇を再開しつつある今日この頃

 

人出が復活しつつある渋谷に出かけて行く

 

天海祐希さん主演の「広島ジャンゴ」は

ちょっと不思議な世界に迷い込んだ感じ

 

舞台は広島の海辺の牡蠣工場

 

もくもくと牡蠣を殻を剥く作業をしている山本(天海祐希)

 

工場長(仲村トオル)はワンマンで、

自分がファンである

広島カープの優勝祈願懇親会に

社員を休日返上で半ば強制的に参加させようとしている。

 

娘との時間を大切にする山本一人がそれを断り、雰囲気が悪くなるが、屈しない。

 

シフト係の木村(鈴木亮平)は板挟みに苦しみ、飲み過ぎて眠ってしまう・・・

 

ここから、なぜか木村はディカプリオという名前の馬になっていて、

みんなは西部劇のような恰好になっている

 

そこは原因不明の川の干上がりで、

水不足に苦しむ開拓時代の西部の町「ヒロシマ」

 

山本はジャンゴと名乗り、娘ケイと旅を続けるお尋ね者。

木村はその二人の馬、という謎の設定。

 

木村の夢の中であろうその世界は

現実の工場での人間関係とよく似ていて、

独裁者の町長はやっぱり仲村トオル

 

工場の時と同じように「みんな家族」などと言いながら

私腹を肥やしている

 

馬の木村が人間の言葉を話しても

みんな普通に受け入れてるし、

なんだか不思議でハチャメチャな展開にも見える

 

そこにみんなが抱える深刻な問題が浮かび上がる

 

独裁者による制圧と暴力

DV

子供への虐待

ブラック企業での過労からの自殺

借金苦から身を売る女たち

 

今の世の中が抱える問題ををぎゅっと濃縮したようだ

 

コミカルな展開の中に深刻な内容が散りばめられ

笑っていたと思ったら

涙がこみ上げるような切ない心の叫びがあり・・・

 

ウクライナで起こっている悲劇とも重なり

コロナ禍で生活が激変してしまった人たちの姿が浮かび

様々な理不尽に耐えている身近な人たちを想い

 

棟の中に複雑な思いが渦巻きながら、食い入るように舞台に見入っていた

 

ジャンゴたちと町長の対決はジャンゴたちが勝利して

町は水を取り戻し、平和日々が戻ってくる

 

目が覚めて現実の工場に戻った木村の意識も変わり

木村の働きかけで工場のみんなの意識も変わっていく

 

恐ろしいのはついさっきまで独裁者と戦おうと団結していた町の人たちが、

独裁者のスピーチを聞いているうちにいつのまにか独裁者側に向いて行ってしまうその過程。

 

みんな「悪い人」ではないのだ

ただ、それぞれの「正義」に基づいて

保身や利益のために行動しているだけ・・・

そんな心のすき間に独裁者はつけ込んで、コントロールしていく

 

こんな風に歴史は繰り返され

戦争は無くならないのか・・・

と妙に納得させられる

 

自分があの場にいたらどうなっていただろう

強い意志を保ち続けられるのだろうか

 

仮に保ち続けたら、異端者として処刑されてしまうのだろうか ・・・

 

明るい西部劇みたいな舞台なのかと思ったら、

かなり深くていろんなことを考えさせられる内容だった

 

それにしても天海さんのカッコいいことったら

お顔は小さいし、

すっと立っただけで絵になるし、

さえない牡蠣工場のパートの格好をしていても

オーラが隠せない

 

さすが宝塚だっただけあって、ジャンゴの立ち居振る舞いは

男の人たちよりはるかに男らしくて美しい

 

人の良さからみんなに振り回される

鈴木亮平さんのコミカルさはこの物語の救いだ

 

家族の命を守るために独裁者に屈する藤井隆さんの苦渋に満ちた姿と

それを受け入れられない奥さんの中村ゆりさんの切ない演技

 

スマートに残酷に皆を支配する仲村トオルさん

 

こんな豪華キャストも楽しみのひとつ

 

この日、お付き合いくださったのは

ライフオーガナイザーという資格を取った時に同期だった方

 

このご時世、なかなかお出かけに誘いにくいけれど

いつも快諾してくださる

 

平日の昼間、贅沢な時間を過ごさせていただきました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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