ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】肉の海

2018年06月19日 | 演劇
「肉の海」
脚本・演出 渡辺えり
原作「塔と重力」上田岳弘
本多劇場

強烈なタイトルだ。

と思ったら、渡辺えりさんが妖精のようなコスチュームで客席から登場。

まるで誰かの夢の中をのぞいているかのように、脈絡なく次々と場面が移っていく。

おもちゃ箱をひっくり返したような色鮮やかさとにぎやかさなのだけれど、チクリチクリと刺さる言葉たちがあふれ出てくる。

とにかく盛りだくさんだ。

東日本・阪神淡路大震災で大切な人(もの)を失った人たち。
そこにかかわる人たちのそれぞれが抱えている喪失感。
前に進めずずっと同じ場所に立ち止まっている人。
認知症など老いへの恐怖。
セクハラ・パワハラ。
女性が土俵に上がれない問題まで。
大きなテーマの傍らにちりばめられてお腹いっぱいだ。

どうやら「肉の海」は人間の脳のことのようだ。

今回、どうしたことか席が1番前のほぼ中央。

迫力が半端ない。

役者さんたちがちょくちょく舞台から降りて動き回るので、足を踏まれそうだ。

最初の妖精のコスチュームくらいで驚いていてはいけない。

三田和代さんの不思議の国のアリススタイルにも度肝を抜かれる。
しかも、たしかに顔はおばあさんだが、可愛らしい。

ベンガルさんのセーラー服姿も、一歩間違えば相当ヤバいけれど、この世界ではくすっと笑えるかわいらしさ。
渡辺さんのセーラー服も然り。
でも、渡辺さんのセーラー服は以前に別の舞台で観たことがあるので、それほどのビックリ感はなかったけれど。

青木さやかさんの女王様もぴったりだ。
かなり重要なポジションを占める震災で亡くなった美希子役の屋比久知奈さんの顔の小さいことったら。

尾身としのりさんが終始ちょっとぞくっとする怪しい人を貫いていた。

歌ったり、踊ったり、走り回ったり、楽器を演奏したり、詰め込めるモノを全て詰め込んだって感じ。
それをこなしていく役者さんたちってすごい。

混沌としていて、生臭くて、死にたくなるほどつらくても次の瞬間お祭り騒ぎをして・・・。
人間の脳の中ってこんな風なのかもしれない。
きれいごとではなく、不謹慎でもなく、人ってこんな風に生きていくのかもしれない。

なんだかよくわからないけどすごい迫力の舞台だった。
重たい部分もかなりあったけれど、最終的には元気をもらった気がする。

年を重ねることへの不安を払しょくする勢いのある舞台だ。
私もまだまだ頑張れそうな気がする。

井上ひさしさん、渡辺えりさん、と2日連続で上質のお芝居を観て、とてもとても前向きになっている。

今週は自宅のプチリフォームもある。

これからの日々もワクワクすることがたくさんありそうだ。







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