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リチャード・ベッセル『ナチスの戦争 1918-1949』(中公新書)

2015-11-15 05:00:00 | 近現代史

本書の著者は、1948年生まれの米国人。98年よりヨーク大学教授
(20世紀史)。原題は『ナチズムと戦争』--2004年刊。

<目次>
第1章 第一次世界大戦の余波とナチズムの台頭(1918-1933)
第2章 ナチ政権と戦争への道(1933-1939)
第3章 ナチズムと第二次世界大戦(1939-1945)
第4章 第二次世界大戦の余波(1945-1949)

私が、ナチス・ドイツに対して、「どうも、ここがいま一つ分からない」
という部分は・・・・・・
○当時のドイツ国民はなぜヒトラーを支持したのか?
○「ヒトラーの犯罪」について、支持した国民の責任はどう考えられた
 のか?
というものだが、本書でかなり言及されている。

翻訳ではあるが、分かりやすい書きぶりだ。少しくポイントを引用す
れば、
 第1章
 第一次世界大戦終結は多くのドイツ人にとって思いもよらない突然
 の悲劇で、ただでさえ大きな衝撃であるところに、政治革命のショッ
 クまでもが加わった。

 第一次世界大戦によって、ドイツは上品とは言い難い、非常に粗野
 な、「毎日を生きていくため」の場所になってしまった。

 (注;終戦後の日本も似たような混乱期だったのではないかしらん。
 一般的には、「団塊の世代」は親もほったらかし(?)で、大学時代
 は学生紛争で勉強もしなかった??)

 過激なほど反民主的・反ユダヤ的・好戦的かつ報復主義の政党が
 引きつけたのは、どのようなドイツ人だったのか。ユダヤ人を除
 くほとんどのドイツ人、というのがその答えだ。

 第2章
 もしフランツ・フォン・パーペンが1933年1月にあれこれと策をめ
 ぐらさせ、1月30日にヒトラー政府を発足させなければ、もしクル
 ト・フォン・シュライヒャーがNSDAP(注;ナチ)党首を後継者に
 することを断固阻んでいたら、もし高齢の大統領パウル・フォン・
 ヒンデンブルクが、かつて「ボヘミアの伍長」と蔑んで政府を任せ
 なかった男を首相に指名したりしなければ、、もし既存のエリート
 たちが最終的にヒトラーと取引する気にならなければ、第三帝国は
 おそらく誕生しなかっただろう。

 第4章
 ドイツ人は苦悩と喪失に直面したことにより、マイケル・ヒューズ
 の言葉を借りれば、「自分たちの多くが他の数百万のヨーロッパ人
 に苦しみをもたらしたことは無視して、自分たちはナチズムと第二
 次世界大戦の犠牲者で潔白だという集合的(注;集団的?)記憶を
 まんまと作り上げたのである」。


時々、戦後処理について、「日本はドイツを見習え」という主張があ
るが、軍国日本とナチス・ドイツは、似て非なるものかもしれない。

仮説としては、「日本はドイツを見習わんでよろしい」と言えるのかも
しれないのである。

私に文章構成力があれば、そのようなタイトルの本を出版するのだ
が(笑)。



R.ベッセル『ナチスの戦争』(中公新書)


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