人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

6/2 ラトヴィア放送合唱団

2019-06-13 05:00:00 | 音楽

6月2日(日)、あざみ野クラブ新旧役員昼食会の後、3日連続の演奏
会。3日目はラトヴィア放送合唱団だ(すみだトリフォニーホール)。

半蔵門線錦糸町で降り、久しぶりにブックオフへ。
酒井三郎『昭和研究会』(中公文庫、1992/7)を380円で買う。掘り
出し物なり。


ラトヴィア放送合唱団は、各パート6人×4、24人の室内合唱団だ。平
成29(2017)年5月に初来日している。

ラトヴィア(日本の外務省の表記では「ラトビア」)はバルト三国の
一つ。バルト三国では合唱が大変盛んだ。独立前からの一種の民族運
動と言えるのかもしれない。(*)


<プログラム>
ラトヴィアの合唱
1.ペーテリス・ヴァスクス(1946-) 「母なる太陽」
2.エーリクス・エセンヴァルズ(1977-) 「星々」
3.サンタ・ラトニース(1977-) 「静かな水」
4.ユーリス・カールソンス(1948-) 「魂の涙」
5.ペーテリス・ヴァスクス 「沈黙の果実」
--休憩--
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
1.3つの四重唱曲op.64より 第1曲「郷里へ」*
2.ワルツ集『愛の歌』op.52より* **
3.ワルツ集『新・愛の歌』op.65より* **
指揮;シグヴァルズ・クラーヴァ
ピアノ;津田裕也*、北村明幹**



以下、いつもながら、まことにつたないコメントを

午後3時、ギロ~ン、ギロ~ンとチャイム。 「本日はご来場ください
まして・・・・・・」。 しばらくして、会場が静まり返る。

3時5分、暗転し、下手から入場に拍手で迎えられる。何人かがワイン
グラスを持っている。先日も六連でワグネルが「ラトビアの人と風景」
と称する合唱を演奏した時にワイングラスが登場したことを思い出す。

続いて、大柄の指揮者クラーヴァが登場。にべもなく、小首を傾ける
ようなおじぎ。
フォーメーションは湾曲、前列が下手側からSop.、Alt.、後列がBass、
Ten.かな(聴くうちに分かってくる)。


ラトヴィアの合唱
1.ペーテリス・ヴァスクス(1946-) 「母なる太陽」(演奏;6分)
すべて譜面持ちの演奏。出だしはハミングか「ウー」か。どこから声
(音)が出ているのか、ホールが教会のように響き渡る。
朝の母と太陽をテーマにした詩。薄くて、正確なピッチがすばらしい。


2.エーリクス・エセンヴァルズ(1977-) 「星々」 (5分)
ここで全員が山台より後ろに下がって、男女ミックスフォーメーション
へ。
ワイングラスの出番。8~9人に譜面台が用意されている。ここでも教
会の響きだ。ワイングラスは合唱に合う。

クラーヴァは大きくゆっくり振る。Bassの低音、Ten.の高音もまった
く力まない。pからppへ--ブレスの支えは相当なものだろう。
もしかしたら「合唱の最先端」と言ってもいいのかしらん。


3.サンタ・ラトニース(1977-) 「静かな水」 (12分30秒)
ここで、また元の湾曲フォーメーション(前列女性、後列男性)。風
が吹くようなため息声。
指揮は大きな拍をきざむが、どのパートがどこで入るのか、大変難し
そう。クラーヴァもほとんど譜面から目を離さない。歌詩とヴォーカ
リーズが一体の演奏。

演奏中に、ところどころ、2、3人が瞬間的に音叉で音を確認するのは
初めて見た。


ここでピアノが中央へ。

4.ユーリス・カールソンス(1948-) 「魂の涙」 (11分30秒)
指揮なしでピアノのゆっくりとした単旋律で始まる。合唱は倍音が鳴
る、教会の響きだ。再びピアノの単音--不思議な世界。徐々に音楽
が激しくなり、別々の歌詩が歌われる。ステージ中央、ヒゲのおじさ
んが大変小さなシンバルのような打楽器をチ~ンチ~ンと叩く。
会場が演奏に集中しているtころで、チラシの束をバシャッと落とす
人がいて、興ざめとなった。

5.ペーテリス・ヴァスクス 「沈黙の果実」
ピアノの前奏に続き、きれいにハモる宗教曲に心が洗われる。歌詩は
マザー・テレサ。薄いピッチのまま、pからfへ。Bassは五線下(?)
の超低音。

終わると、指揮のクラーヴァは、真っ先にピアニストに拍手。その後、
振り返り、ニコリともせずおじぎ。全員でにべなくおじぎし、そのま
ま足早に下手にひきあげた。
(午後3:52)

--休憩(20分)--
白ワインを飲みながら、一緒になったIさん、Yさんと歓談で盛り上
がる。

午後4時13分、全員登場。第1ステージ冒頭よりも大きな拍手だ。

ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
1.3つの四重唱曲op.64より 第1曲「郷里へ」* (4分30秒)
ピアノ前奏から始まる。「Heimat」で始まり「Heimat」で終わる曲。
「前ステージよりデュナーミクも大きく、アゴーギクのある演奏。
「Heimat」のhはなるほどきつくない。一方rの巻き舌はきっちり巻
かれていた。ドイツロマン派にとって、「Heimat」は大切な言葉?

2.ワルツ集『愛の歌』op.52より* ** (19分50秒)
op.52は「18のワルツ集」だが、この日は、その中からNo.7、No.12、
No.17を除いた15曲が演奏された。
No.2とNo.13はピアノの連弾のみ。No.4は響き(共鳴)のみの歌声。
No.5は混声のおもしろさ。難しい歌がやさしい歌のようだ。あっとい
う間の20分だ。

3.ワルツ集『新・愛の歌』op.65より* **(10分20秒)
op.65は「15のワルツ集」。そのうちNo.1、2、7、8、14、15の6
曲が演奏された。柔らかな発声をベースに、fではしっかり「声」を
出し、pでは柔らかく歌う。
いかにもロマン的なrit.もあり。幅のあるデュナーミクとほどほどのア
ゴーギクでブラームスの合唱を堪能させてくれた。

終わると、ここでもクラーヴァは二人のピアニストに拍手。その後、
おじぎをし、あらためて全員でおじぎ。
その後、クラーヴェが上手で見守る中、ブラームス「ハンガリー舞曲」
第3番。二人が息の合ったアゴーギクを聴かせた。

ピアニストが退場したと思ったら、attaccaでア・カペラの合唱へ。
クラーヴァも大きく振り、fで歌い上げる。
お国物かしらんと思いつつ聴いていたが、後から掲示を見たら、はた
してラトヴィア民謡「私は歌いながら生まれた」だった。

大きな拍手の中、全員が退場。あらためてピアニストと指揮者がカー
テンコール。それでも拍手鳴りやまず、最後はクラーヴァが登場し、
お開きとなった。

聴衆は1,000人もいなかったかもしれないが、全員が精一杯の拍手を
送っていた。


*あまりにすばらしかったので、6/4のフィリアホール公演も聴きに
 行こうと、よほど考えたのだが・・・・・・。


    --------------------------

(*)バルト三国(→こちら)の悲劇
 ここでまったく「余談」ながら、念のため世界史を確認しておくと、
 バルト三国は、1918年にロシア(ソ連)から独立したが、第二次世
 界大戦中、独ソ不可侵条約・秘密議定書(ヒトラーとスターリン、
 独裁者同士の握手?)を発端として、1940年にソ連に(強引に)併
 合されてしまう。
 この当時、ソ連は、1939年にフィンランドにも侵略している(冬戦
 争)。

 「ソ連は社会主義国家だから侵略しない」というステレオタイプなこ
 とが、私が大学に入学した昭和45(1970)年になっても日本の一部
 で信じられていたことは今さらながら驚き!と言ってもいいかもしれ
 ない。
 バルト三国が再び独立したのは1991年のことである。

 ちなみにソ連は、昭和20(1945)年、日ソ中立条約を無視して日本
 に宣戦布告し、満洲・朝鮮に一挙に侵入している。(『詳説 日本史
 B』)




チラシ


プログラム

プログラムにはチラシとともにラトヴィアの合唱部分の和訳(A4ペー
パー)が入っていた。皆さん気づいたかしらん。ただしブラームスに
は和訳なし。



11:21 江田の「かごの屋」にて 新旧役員昼食会


11:36 


12:56 江田駅より


13:56 錦糸町下車


14:01


14:04


酒井三郎『昭和研究会』(中公文庫、1992/7)
酒井氏による「歴史の証言」。まことに主観的でおもしろい??



14:24 錦糸公園


14:24 北斎通りのケヤキ並木


14:27


14:29 少しかすんでいる。


14:31


14:32


14:33 2年前の来日公演 今回もこんな並び方


14:36 L3扉へ向かう。


14:37


14:38 両サイドは縦一列の「特等席」 2階LB-6


14:51 開演10分前


15:54


15:56


17:00 お開き 2台のピアノが残る。


17:03


17:09


17:09


17:16 「反省会」と称して


17:21


18:15 錦糸町


19:11


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドナルド・キーン 『このひ... | トップ | 6/4 東京2020 都市ボランテ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事