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竹内洋『革新幻想の戦後史』(下巻)(中公文庫)

2019-10-07 05:00:00 | 近現代史

先月(9/1)のブログでも紹介した、竹内洋『革新幻想の戦後史』(中
公文庫)の「終章 革新幻想の帰趨」(下記目次ご参照)をあらためて
読む。

この本は、まさしく戦後史の一面だ。一面からとらえた「社会の変化」
に関する論文と言えるのかもしれない。

京都大学大学院教育学研究科教授を「役割」とされていただけに、800
以上の豊富な主要参考文献とデータを駆使して構築した力作だ。



<参考>下巻目次
Ⅴ章 福田恆存の論文と戯曲の波紋
 *これを読むと清水幾太郎と福田恆存は意外と親しい関係だったこ
  とが分かる(--どちらも東京帝国大学文学部卒)。

Ⅵ章 小田実・ベ平連・全共闘
 *この時代は、
  1965 ベ平連 (~1974解散)
  1969/1 東大安田講堂事件
  1969/10 国際反戦デー暴動事件
  1969/12 師走総選挙 自民党圧勝
  1970/11 三島(由紀夫)事件
  1972/2-3 連合赤軍事件
  等、「激動の時代」(というか「転換点」)だった。

  私はむろんいずれにも参加していないし、野坂昭如いわゆる「心
  情三派」でもない(念のためですが)。
  大学のクラスで、ベ平連に参加していたのは、たしか一人だった。

  いま「仮に」当時の学生を左翼-中道-右翼と分類するとすれば
  (*)、やはり「10-80-10(%)」の原則にあてはまるので
  はないかしらん(正規分布?人事考課と同じ?)。
  *「左派」とか「右派」という言葉でもいいが。むろん現実には、
  例えば「過激派」と「穏健派」などその分類以外の分類もある。 

Ⅶ章 知識人界の変容

終章 革新幻想の帰趨
 1 石坂洋次郎の時代
 2 草の根革新幻想 ※
 3 大衆モダニズムの帰結

補論2 鉄のトライアングル--進歩的文化人・岩波・朝日

※本書p258の資料が興味深い。 
 24歳以下の人口総数に占める割合(『人口推計』総務省統計局)
 1950年 54%
 1960年 49
 1970年 43
 2000年 38
 2009年 24

ちなみに65歳以上の人口総数に占める割合は、
 1950年  5%
 1960年  6
 1970年  7.5
 1980年  9
 1990年 12
 2000年 17
 2010年 23
 2015年 27
 (%はいずれも概算)

(ご参考)人口推計→こちら

こうしてみると、昭和25(1950)年頃は、老人が少なく、子どもだ
らけだったと言えるだろう。



仮に今、昭和ベースで、20年代、30年代、40年代、50年代・・・・・・と
10年ごとに分類するとすると、私が<実感として>知っているのは、
ようやく40年代以降だ。

私にとって、20~30年代は、文字等による「歴史」の世界と言える
だろう。

しかるに本書で昭和40年代を読むと、私には「そういえばそうだった」
ということが思い出される。


もしかしたら、今の若い人が本書を読むと、「へ~、戦後の昭和には
そんなことがあったの?」と今からは想像もできないことばかりなの
かもしれない。



竹内洋『革新幻想の戦後史』(中公文庫)


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