人生ブンダバー

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エラス=カサド/N響 ベートーヴェン「第九」(長文)

2020-12-31 05:00:00 | 音楽

12月23日(水)、すすき野東急の文教堂で『レコード芸術』1月
号を購入。

今年のレコードアカデミー賞(大賞)にエラス=カサド(43歳)
の「第九」が選ばれたことを知る。エラス=カサドの名前はそ
れまで知らなかった(汗)。


12月26日(土)、ワグネルOB「クラ研(クラシック研究会)」
の人たちとN響の第九を聴く。

そういえば・・・・・・、この日の指揮者はエラス=カサド?いきなり
興味津々となる。

NHKホールには開演30分以上前に到着。手指の消毒、チケットは
自分でモギり、プログラムも自分でピックアップ。

2階ロビーが空いていたので、のんびり予習。
開演15分ほど前にエレベーターに乗ろうと思ったら、中には4人
の人が。そのうち、一人の若い人から「定員は4人ですよっ」と
厳しく叱責され、
「あらら、こりゃまた失礼、失礼」
(エレベーターの入口にはその旨の立札がなかったが・・・・・・。こ
こでケンカすると「平常心」が乱れてソンする。金持ちではない
が、ケンカせず)。

開演10分前に着席するとクラ研の人が「会場を間違ったか」と心
配してくれていた。あり得る?


ベートーヴェンは1800年頃(より正確には1798年)から難聴にな
っていた。ベートーヴェンの9曲の交響曲は難聴となってから書
かれている。
「第九」の初演は1824年(ベートーヴェンが亡くなるのは1827
年だ。)でその時には耳が聴こえなくなっていた。


「第九」の演奏は、ざっといえば、楽器の進歩(古楽器~モダン
楽器)と楽譜(ブライトコプフ版と指揮者による修正[指揮者が
改変するのが当たり前だった?]、そして1996年のベーレンライ
ター版)によって進化してきたといえるかしらん。

20世紀までの演奏はブライトコプフ版をベースにしたものだった
が、21世紀になってからはベーレンライター版によるものが主流
となっている。

今回の演奏もおそらくベーレンライター版(1996)による演奏だ
ろう(--当事者に確認すれば分かる)。

大体、演奏時間は前者では70分少々、後者では60分少々となる。
以前聴いたカンブルラン/読響(LIVE)は、かなり速く感じたが、
62分だ。


N響の第九は何回か生で聴いているが、久しぶり。前回は、平成
13(2001)年12月23日、ハインツ・ワルベルクの指揮で聴いた。
ソリストは、浜田理恵、藤村実穂子、市原多朗、石野繁雄。合唱
団は、国立音楽大学声楽科学生(150人以上)。その時は合唱の
デュナーミクに一工夫あった。
ワグネルOBのAさんと一緒だったかな。


<プログラム>
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso
第2楽章 Molto vivace
第3楽章 Adagio molto e cantabile-Andante moderato
第4楽章 Presto-Allegro ma non troppo-Allegro assai

Sop.:髙橋絵里
Mez.:加納悦子
Ten.:宮里直樹
Bari.:谷口 伸
合唱:新国立劇場合唱団
指揮:パブロ・エラス=カサド
コンサートマスター:篠崎史紀
合唱指揮:三澤洋史


開演時間午後3時。ステージ裏から管楽器の音が聴こえる。
ステージには上手寄りに4丁のコントラバスが置かれている。
この日の弦は12型(12-10-6-8-4)だ。
座席は3階R席。入場者は約1600人限定。
3時5分入場。カサドは長身だ。コンマスと普通に握手。
指揮者の譜面台はない。指揮棒もなし。

以下、いつもながらつたないコメントを・・・・・・
( )内は概算演奏時間
第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso(14分30秒)
空五度はややあっさりと第一主題へ。激しく、大変歯切れがいい。
キビキビした演奏だ。テンポに乗ると拍を刻まず、しゃがみこん
だり、戻ったりとデュナーミク中心に指揮。木管の出し方が意外
とロマン的。終盤で大きくrit.。最後は再び激しく、弓を入れた。

第2楽章 Molto vivace(13分30秒)
ここでもリズムの刻みはコンマスに任せ、fとp中心。左手を
legatoに丸く回したり。ティンパニにリードされ、ホルンとトラ
ンペットが活躍。

第2楽章後、オケが3人、次いで新国立劇場合唱団の女声20、男
声20の40人がソーシャルディスタンス(マスクをしている)で
入場。最後にゾリ4人が落ち着いて入り、着席。

第3楽章 Adagio molto e cantabile-Andante moderato(12分30秒)
ここでは思ったよりゆっくり、たっぷり鳴らす。テンポが変わら
ないところは、やはりデュナーミク中心の指揮ぶり。オーボエと
フルートが揺れる。
オペラグラスで覗くと、谷口さんは落ち着いた、普通の表情。
後半はしっかり拍を振って、ほどよいタメを見せた。

第4楽章 Presto-Allegro ma non troppo-Allegro assai(23分強)
前半は明確な指揮。前3楽章のテーマが、チェロとコントラバスに
よって次々と否定される。
「歓喜のテーマ」が登場。弦がまことに美しい。全奏に入ったと
ころで合唱団が一斉にマスクを取った。

Prestoに突入すると谷口さんがすっくと立ちあがる。「O Freunde」
の第一声は、子音、母音とも美しく、力みもなく、格調高く、わ
ずかに揺れながら歌う。「晴れ舞台」への気負いもなく、姿勢がい
い。合唱もからみ、4人の独唱も加わる。
マーチに入って、堂々たる体躯の宮里さんがやや明るめに歌う。
合唱も高揚。

その後、オケも熱が入るところだ。カサドは気取るでもなく、パ
フォーマンスをするわけでもない、終始没入の指揮。
Andante Maestosoは男声合唱の立派な声。「muss」の「u」の発
音がきれい、後の子音もきっちり。
混声の「二重フーガ」も40人にしては堂々たるものだ(さすが新
国立劇場合唱団)。

最後のゾリ四重唱は、髙橋さんがかなり張り上げていたが、スラ
リとした谷口さんはここでも肩の力を抜いた歌唱で、「響き」が
本当にすばらしい(--ヴォルフラム「夕星の歌」を思い出した)。
4人が座ると、Codaを一気に駆け抜けた。待っていた大拍手。ブ
ラボーは無論禁止だが、私には大拍手とともに「ウォー」という
大歓声が聴こえた(空耳?)。

合唱指揮の三澤さんも登場、ゾリとともに6人で大拍手に応える
(谷口さんは盛んに合唱へ拍手)。圧倒的な拍手に、拍手する私
も感激だ。
カサドは、ホルンから始まって、オーボエ、フルート、ファゴッ
ト、クラリネット、・・・・・・と立たせていく。
最後は再び、指揮者とゾリ、6人が最前列に並んで声援に応えた。


12型の弦楽5部と40人の合唱--NHKホールとしては少人数の演
奏だったが、大奮闘であった。

ちなみに、今回の演奏時間Totalは約63分30秒。
エラス=カサドのCD(古楽器演奏)では61分13秒だ。
プログラムのインタビューでは、N響とそのモダン楽器を尊重し
て演奏すると語っていた。


ホール出口でN響利光氏(早稲グリOB)と談笑。


演奏会終了後は、コロナ禍のため「クラ研反省会」もせず、まっ
すぐ帰宅した(後からLINEの感想会)。


今日、大晦日にはNHKEテレで放映される。今年一番のオススメ
といえるかもしれない。

*谷口伸→こちら。(ドイツで活躍中)
 ブル先生が生きておられたら何とおっしゃったかしらん。


来年は、全世界の人々にとって、よい年となりますように!


13:20 あざみ野三丁目東公園


13:24


13:31


13:38 あざみ野


13:50 二子玉川


14:06 渋谷着


14:08 スクランブル交差点--結構な人出


14:12


14:14


14:18


14:20


14:22


14:23


14:23


14:25


14:25


14:28


14:29 2階ロビー


14:29


14:51


14:54 開演前



16:22 分散退場中


16:23 退場する合唱団に拍手が送られる。


16:30


16:35


16:42


16:46


16:47


16:48


17:13 あざみ野に戻る。


17:18 バスで(上り坂を)上がる。


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2 コメント

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Unknown (katsura1125)
2021-01-01 10:44:47
チャグママさま、有難うございます。
私は、いつものように早く寝てしまいましたので、じっくりビデオ鑑賞です(笑)。
返信する
Unknown (tkgmzt2902)
2020-12-31 23:19:12
こちらの詳しいブログを参考に、今、聞いています。
今年はコンサートに行けなかったけど、大晦日に聴けて、
しかもブログを見ていたので、深く聴けてラッキーでした。
ありがとうございました。
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