人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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第5回東京六大学OB合唱演奏会

2008-08-03 05:43:08 | 音楽
[久々に音楽のテーマを取り上げる。(7月20日以来である。)ライブの「感想」
(「評論」などの域ではとてもない。)は、本と違い音楽が一瞬のうちに消えてし
まうので難しい。相撲のようにビデオ判定できるものでもなく。]

昨年から団塊の世代が60歳定年を迎えた。いわゆる2007年問題が到来したのであ
る。団塊の世代とは昭和22(1947)年~24(1949)年生まれをいう。団塊の世代以
上の昭和生まれの方々は本当にお元気である。

8月2日(土)、その多くの方々が中心となっている「OB六連」(男声合唱)を聴
きに行ってきた。外はカンカン照りである。(東京芸術劇場、マチネー(「待ちね
え」ではない。))

1.立教 ブロードウェイ・ミュージカルより 指揮;高坂徹、ピアノ;久邇之宣
2.法政 R.シューマン「男声4部による六つの歌曲」 指揮;松村秀明
3.東大 R.シューマン「狩の歌」、R.ワーグナー「巡礼の合唱」 
    指揮;三澤洋史 ホルン;友田雅美ほか(4本)
4.慶應 J.ブラームス「運命の歌」 指揮;吉川貴洋 ピアノ;黒澤美雪
5.早大 「北斗の歌声・希望の架け橋」 指揮;松原千振 ソプラノ;竹内葉子
    ピアノ;岩瀬彩
6.明治 MISSA KENYA 指揮;外山浩爾 ピアノ;小林功 ホルン;山本真
    パーカッション;小松玲子、中山理恵


1.①Over the Rainbow、 ②Begin the Beguine、 ③Oklahoma、 ④Ol'Man River
  全員濃紺のブレザーにして暗譜。意外と若い人も。高坂先生の統率により洒落
  (シャレ)た、ステージ(懐かしき世界!)となった。ビギン・ザ・ビギン
  8分の6拍子も雰囲気たっぷり。プログラムに訳詩が載っているのも親切であっ
  た。④のベース・ソロはいささかノーカン(感)であったが、終盤の合唱、意
  味ある pp にはゾクゾクした。(約50人)

  なお、プログラムの記事--内容的には「福永陽一郎先生と立教グリー」2000
  字余が大変おもしろかった。「棺を蓋(おお)いて後(のち)知る」である。
  本ステージの編曲はすべて福永陽一郎氏によるものであった。


2.長身の指揮者はいかにも若々しい。(調べたら今年28歳だった。)ア・カペラ
  の曲を譜面持ちで演奏。このホールは声が前に出てこない難があるが、それに
  しても何語なのか分かりにくかった。(無論ドイツ語である。法政は史上初め
  てのドイツ語である、とプログラムに書いてあった。)メンバーは音とりのた
  びにハミングをしていた。指揮者は最後の最後に合唱団にも一礼をして引っ込
  んだ。(約30人)


3.三澤氏は新国立劇場合唱指揮者、ドイツの音大を首席で卒業。バイロイトの合
  唱指導スタッフを経験。53歳。何人集められるかがひとつのポイントである
  が、オンステは約60人だった。(譜面持ち。)シューマンは1曲目はかなり速
  めのテンポでさっと通り抜けた。膝を使う揺れる指揮である。法政に較べれば
  かなりドイツ語らしく、造型もなかなか大きいが、声の限界は否めない。上半
  身がカチカチの人が散見された。コーヒーでいえば軽めの味であった。


インターミッションに出たら、おじさん、おばさんが口々によかったね~と言って
いた。コーヒー・ブレイクでは同期と出くわした。明日は猛暑の中ゴルフだそう
だ。熱中症にご注意である。


4.(約75人)。この指揮者は前にも聴いて感心した。カラヤンばりの分かりやす
  い棒である。ピアノ伴奏も右手がなかなかいい。ドイツ語はさすが、 Top も
  張ってほしいところで期待どおりである。何年か前にワグネルOBでやった同
  曲演奏(指揮者はやはりOBで別人だったと思うが。)よりもいい。

  しかし、贅沢をいえば“Doch Uns ・・・・・・”などはもっと「思い入れ」があっ
  てもいいのではないかしらん。(このへんもカラヤン?)後奏のアダージョで
  は「アー、ウー」という合唱をダブらせていたが、どういう意味があるのか?
  --個人的によく考えてみたい。
  これもプログラムに訳詩掲載がよかった。(下田さん訳)外国語の詩は、制約
  もあるかもしれないが、できる限り訳詩を載せることを「標準」とすべきであ
  る。


5.松原さんは昭和26年生まれ。今が旬の57歳。北欧合唱のスペシャリスト。(指
  揮者はグレーのズボンに濃紺のブレザーである。)①シベリウスの「讃歌」は
  教会合唱風の感動的な音楽と歌い振り(要すればよくハモる)。②最近はやり
  のトルミスは初めて聴く曲だが、4拍子から3拍子になる、ソプラノソロのある
  不思議な曲だった。エストニア語なのであろうか?

  ③「明日に架ける橋」は懐かしのサイモン&ガーファンクル。スウェーデン人
  の編曲らしい。かなり「ガナ」るのではないかと思ったが、意外やじわじわと
  燃えてきて最後に f ( ff にあらず。)となった。さすがであった。目隠
  しをして聴いたら、早大グリーとは当てられなかったろう。(約70人)


6.これはおもしろかった!ケニア(?)の民族衣装?終わったらどっと拍手が来
  た。ミサのラテン語(Kyrieなど)は万国共通語である。それがヤッパヤッパ
  パというパーカッションのアフリカン・リズムの伴奏で歌われたのである。
  (昔、タンゴのミサを聴いたことを思い出した。)ホルン(一流)のオブリガ
  ート、太鼓にボンゴ、マラカスまで飛び出した。合唱もきれい事で終わらな
  い、訴えがある、外山先生の面目躍如であった。(約35人。声もよかった。)



最終ステージは320人になろうかという全員のエール・ステージだった。

立教の指揮者が前に出てきたので、立教から順番に歌うのだろうなぁと思っていた
ら、あにはからんや、全員がセント・ポールを歌い出したのである。これだけのセ
ント・ポールを聴くのは生まれて初めての経験である。大合唱としては限界を超え
ていると思われるのに、意外とにごらない。(ちなみにセント・ポールは我が父と
娘の母校である。)

近衛秀麿作曲の法政大学校歌も造型が大きく、まことに感動的だ。「よき師よき
友」のデュナーミク(ダイナミクス)などいかばかりであろう。涙がにじんでく
る。ブンダバーなのである。

次の東大も同様だ、北原白秋の歌詞が難しい(淡精[たんせい]、蘊奥[うんの
う」の窮理[きゅうり]など東大生は分かるのかしら?)ので東大以外は楽譜にか
じりつきであったが、聴いていると「こんな曲だったのか」と胸が震えてきた。ス
テージもにじんで見えない。(作詩・作曲は北原、山田のゴールデンコンビであ
る。)

塾歌もやや遅めのテンポでまことに重厚だった。早大校歌もこれだけの大合唱を神
宮で聴いてみたい。山田耕筰作曲の明治校歌も「おお、明治」のインパクトが強か
った。


次回は会場にも全校の歌詞を配って、ぜひ真の全員合唱をやってほしい。



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