人生ブンダバー

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福永陽一郎指揮 「多田武彦作品集」

2009-10-27 05:09:06 | 音楽
東芝の現代合唱曲シリーズの多くが廃盤であることは本当に残念である。今にして
思うと、そのいくつかのLPを購入していたことはよかった。

そのシリーズ、当時のレコード番号でいうTA-60016の福永陽一郎指揮「多
田武彦作品集」は名演のひとつである。
「雪明りの路」、「雨」、「草野心平の詩から」は、北村協一の関学グリー、畑中
良輔の慶應ワグネル、それぞれの名演があるが、このLPでは福永陽一郎が一人
で、関学グリー、小田原男声、同志社グリーを振り分けている。


1.関学グリー「雪明りの路」(録音;昭和50(1975)年2月4日)
2.小田原男声「雨」(昭和50(1975)年5月22日、7月1日)
3.同志社グリー「草野心平の詩から」(録音;昭和50(1975)年2月4日)

1.関学グリー「雪明りの路」(録音;昭和50(1975)年2月4日)
福永先生は、トスカニーニが大嫌いだったが、実際にもテンポのゆっくりした、大
きな音楽が特徴だった。この録音は、福永先生が絶妙なアンサンブルの関学グリー
を振った、貴重なものである。「しみじみと日の暖かさは身にしむけれど」--組
曲全体を通じて、ゆっくりしたテンポで聴くと「しみじみ」性が増している。関学
グリーの母音はいつものように明るめである。

2.小田原男声「雨」(昭和50(1975)年5月22日、7月1日)
小田原男声は昭和46(1971)年に発足した、地域の一般合唱団である。この録音で
は、「十一月にふる雨」が聴ける。この曲はテンポを速くも遅くもできないが、他
の5曲はやはりゆっくりとしたテンポである。この組曲は北村協一/関学グリーの
名盤があるが、福永先生の本録音はそれに対するアンチ・テーゼである。終曲の
「雨」はなおいっそうしんみりした名演である。

3.同志社グリー「草野心平の詩から」(録音;昭和50(1975)年2月4日)
同志社グリーは昭和49(1974)年の世界大学合唱祭に「草野心平の詩から」を持っ
ていった。そのメンバーで録音されたのが本LPである。この組曲はワグネルの委
嘱作品であり、多田武彦の作品の中でも難曲である。畑中良輔/ワグネルの商業録
音では3種類が発売されているが、この福永/同志社グリーの演奏は、特別にゆっ
くりしたものではなく、堂々とした正攻法の演奏である。





東芝の現代合唱曲シリーズLP


なお、福永先生については「福永陽一郎Memorial」に詳しい。→ こちら

(文中の敬称を一部省略させていただきました。)



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2 コメント

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Unknown (katsura1125)
2009-11-20 06:14:34
wajimaseさん、有難うございます。
(とくに往時の)関学グリーとか「なにコラ」はホントよくハモリますね~。今度コツを教えてください。
返信する
わがふるき日のうた (wajimase)
2009-11-18 22:17:22
昔のレコードで多田武彦作品集「わがふるき日のうた」「海に寄せる歌」がある。あはれ花びらながれ をみなごに花びらながれ この曲を聴くと泣けます。ワグネルも何回も取り上げてますが、なぜか畑中先生は振りません。詩の感性の問題でしょうか。三好達治は難しい。福永先生の後継者は伊東恵司さん、最近なにわコラリアーズで「ただたけだシリーズ」を盛んに催し、CDも出しています。何と言っても10年連続金賞、抜群のハモリ、声の若さ、福永先生を乗り越えているかもしれません。関西の合唱団は本当にハモリが素晴らしいです。
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