人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

シューベルト没後180年(2)

2008-06-13 06:14:01 | 音楽
6月10日「カラヤン生誕100年」の中で、R.シュトラウス「夕映えの中で」を取り上
げた。その作詩はY.アイヒェンドルフである。
それとまったく同じ題の詩「イム・アーベントロート」をカール・ラッペが書い
た。その詩にシューベルトが作曲した、すばらしい!歌曲(ドイツ・リート)があ
る。

(注)アーベントロートという有名な指揮者がいたが、アーベントロートはドイツ
   語で夕映え、夕焼けという意味である。アーベントロートさんは夕焼けさん
   なのである。ちなみにバッハは小川さんである。

ラッペの「夕映えの中で」は西野茂雄氏の訳でいえば
「おお、御身の世のなんという美しさだろう、
 主よ、この世に黄金の光がみちる時は!
 (以下略)」
と歌われる。

この曲の名演奏、いろいろあろうが、絶対に真似のできないものが二つある。
一つは、不世出の名歌手D.フィッシャー=ディスカウの歌ったもの。フィッシャー
=ディースカウの歌はすべてそうだが、これほど「完璧に」うまく歌われるといく
ら練習をしたとしても同じようには歌えないと思ってしまう。いつ聴いても「うま
いなあ」と思う。

いまひとつは、H.ホッターのものである。なんという歌唱であろう。初めて聴いた
時は(--ヘッド・ホーンで聴いたのだが。)大粒の涙が止らなかった。
出だしの「オー ヴィー シェーン イスト ダイネ ヴェルト」だけで惹(ひ)
きつけられてしまう。<人生経験のすべて>が歌になった歌唱である。「ドイツは
二度も戦争に負けた。(--第一次と第二次の世界大戦にわたって。)しかし、こ
の夕映えを見よ!なんという美しさであろう。神(造物主)には感謝を捧げずには
いられない」という歌である。こういうものこそ本当に真似のできない歌である。

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