先週は、私にとってはこれが限界というハードスケジュール。3つのオーケスト
ラ演奏会を聴いた。指揮者は、28歳、36歳、42歳と若手だが、結果はいずれ
もよかった。すべて若手の音楽家を聴くのは楽しい。
6月12日(日) 東京交響楽団川崎定期演奏会第31回
(テアトロ・ジーリオ・ショウワ 14時開演)
ミューザ川崎シンフォニーホールで聴きたくて、川崎定期に入会したが、3・11
東日本大震災でミューザ川崎が被害を受け、4月17日に続きテアトロ・ジーリ
オ・ショウワ(昭和音大ホール)に振り替えとなった。
13時からの座席引き換えに備え、12時50分に会場に着いたら、既に行列が
できていた。70代以上のご夫婦も散見される。
13:57ギーンギーンとチャイムが鳴った。
「まもなく開演でございます」のアナウンスの後、大野順二楽団長からステー
ジ挨拶があった。--「代替公演にお運びいただき有難うございます。大地
震による19公演の中止が報じられ、多くのご寄付を頂戴しました。ミューザ
川崎シンフォニーホールの修理には2年間かかるとのことでございます。引
き続きご支援たまわりますようお願い申し上げます」(大きな拍手)
ガ~ン。ミューザ川崎が2年間も使用できないとは!なんてこった!チネチッ
タ!(笑)
当日の指揮者は、ポーランドの新鋭ウルバンスキ28歳。アーバンスキからウ
ルバンスキへ、名前の読み方が変った。(「ブログ内検索」の場合、ご注意。)
ウルバンスキは「彗星のごとく現れ、欧米で熱い視線が注がれている」ようだ。
諏訪内さん登場とあって、お客さまも多く、90%ほど入っていた。
<プログラム>
1.ルトスワフスキ 小組曲
2.シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲 第2番*
3.ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
指揮;クシシュトフ・ウルバンスキ
ヴァイオリン;諏訪内晶子*
コンマス;グレブ・ニキティン
1.ルトスワフスキ 小組曲(★★★★★)
第1曲は最初にピッコロが使われていた。初めて聴く曲だったが、暗譜で振り、
いい演奏だった。お国(ポーランド)の作曲家だ。
2.シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲 第2番(★★★★)
これも私にとっては初めての曲。抒情的ながら甘くはない。夢幻的といったら
いいかしらん。いきなりピアノも入る。ウルバンスキは芯がぶれない、分かりや
すい指揮。これもポーランドの作曲家である。
諏訪内さんはエメラルドグリーンのドレスで登場、芸風だろうか、難曲を難曲
と感じさせない、やや膝を使って左右に揺れ、オーソドックスで大きな音楽だ
った。(逆にいうとハッとさせられるところは少ないかな。)
演奏が終わると大拍手とともに「ブラボー」が飛んだ。私の近くの席の人は
「ウォー」と吼えていた。カーテンコールでは諏訪内さんもヴァイオリンを持った
まま、両手をかかげて、オーケストラに拍手を送っていた。
アンコールはバッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番よりアンダンテ。
インターネット上の評判もよかったかな。
3.ショスタコーヴィチ 交響曲第10番(★★★★★)
カラヤンがショスタコーヴィチを録音した唯一の交響曲。1953年作品、スタ
ーリンが亡くなって書かれた。
ウルバンスキは暗譜の指揮。右手で拍をきざみ、左手で微妙な表情を出し
ていた。これにひきつけられた。。第1楽章や第3楽章がこんなにもニュアン
スに富む音楽だとは。第2楽章のすさまじい猛進振りも一糸乱れず。第4楽
章はオーケストラの超絶技巧。パート譜だけでよく間違えないものだ。
第1楽章のフルート、ファゴット。第2楽章クラリネットやピッコロ。第3楽章の
ホルン(エリミーラのテーマ)。終楽章のフルート、ファゴット等の木管楽器。
パーカッションも大奮闘。マスクをして聴いたら、弦を含め、外来の一流オケ
と変らないだろう。
熱狂的なクライマックスが終わるや、当然のようにドッと拍手が起き、ブラボ
ー、ブラボーとなった。
ウルバンスキは丁寧なおじぎ。私にはショスタコの10番を見直した演奏だ
った。
なお、ウルバンスキさんについては、「大フィルのブログ」を参照されること
をおすすめします。(写真もたくさん。練習開始から暗譜の指揮らしい。)
昭和音楽大学
会場前のチケット交換風景
開演前のステージ おさらいをしている団員も
新百合ヶ丘駅前
6月16日(木) 慶應ワグネル・オーケストラ第204回定期演奏会
(横浜みなとみらいホール 19時開演)
退社後、横浜みなとみらいホールに直行。意外と早く、18時15分には会場に
着いた。家内に買ってきてもらったサンドウィッチが夕食がわり。
当日のお客さまは学生と保護者の年代が多い。1C-17-16で聴く。
<プログラム>
1.サン=サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
2.シューマン 序曲、スケルツォとフィナーレ
3.ブラームス 交響曲第2番
指揮;下野竜也
1.サン=サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール
私にとってはどこかで聴いたことがあるかなという曲。19世紀後半の作品「サ
ムソンとデリラ」の第3幕第2場。(「ゲリラ」ではない。)すごい盛り上がりを見せ
た。よかった。こんな演奏が好みだ。
2.シューマン 序曲、スケルツォとフィナーレ
下野さんは拍も指示も分かりやすい指揮。初めて聴く、珍しい曲だった。シュー
マンらしい音色だった。
3.ブラームス 交響曲第2番
ブラームスは、大きくは新古典派的な面に重きを置いた演奏とロマン派を強
調した演奏に分けられるのではないかしらん。下野さんとワグネル・オケは新
古典派のキッチリした演奏の中にも、メリハリをつけたもの。とくに第4楽章な
どは弦が大きく揺れ、盛り上がるところは大きく盛り上がり、大いにひきつけら
れた。音色ともに若々しい演奏。管楽器は緊張の演奏、頑張れと声をかけた
くなるところもあったが、大編成の弦楽器は大変よかった。下野さんはまだ42
歳だがさすがにうまい。小柄な下野さんが大きく見えた。
なおワグネル・オーケストラ創立110周年記念演奏会は、11月30日(水)飯
守泰次郎指揮でマーラーの5番が予定されている。(横浜みなとみらいH)
6月18日(土) 新日本フィル定期演奏会トリフォニー・シリーズ第478回
(すみだトリフォニーホール 14時開演)
<プログラム>
ブルックナー 交響曲第8番
指揮;ダニエル・ハーディング
コンマス;チェ(崔)・ムンス
13時40分に会場入りしたが、ロビーがいつもより混雑していた。ダニエル・ハ
ーディング(36歳)人気のようだ。ステージを一見すると左側にコントラバス、右
側に3台のハープが置かれている。いつもとは違う対向配置である。1階のA
席も珍しくほぼ満員。
ブルックナーの極致、8番は巨大な交響曲である。ベートーヴェンから出発し
、ワーグナーの音楽を経てブルックナーとなる。
ブルックナーの交響曲はどうかするとどこにいるのか分からなくなるが、自然
どっぷり浸かる聴き方にる。pppや全強奏などはなかなか録音に入りきらな
い。生で聴く醍醐味を味わえた。
新日本フィルは、3夜連続のブル8公演、どこをとってもスキがなく、最後は弦
が弓を跳ね上げて終わった。すぐにパチ、パチ、(パチパチの部分はもっと余
韻を味わいたかったが。)その後、一斉に大拍手とブラボーの嵐となった。S
席の方々も珍しく、両手を上げての拍手。ハーディングはホルン、金管楽器、
木管楽器の順で立たせた。
ややあってハーディングが大きな花束を抱えて登場。第1ヴァイオリンの間
垣健二さんに手渡した。間垣さん「最後のステージ」だったのかしらん。ステ
ージ上の人も含め間垣さんには大拍手だった。
終演後は、ハーディングは片言の「アリガトウ」で自ら義援金集め。身長は
172cmくらいだった。
今週の新日本フィルは3夜連続のマーラー5番。D.ハーディングは11日間で
8回新日本フィルを振る。(以前6回と書いたのは間違い。)
*ダニエル・ハーディングはイギリス人。親日家らしい。顔はちょっとダニエ
ル・カールに似ているカナ。
近所の樹木
びわの実がなった 6月12日
ヤマボウシはまだ咲いていた 6月12日
ピンクの紫陽花(あじさい) 6月12日
以下 6月19日撮影 アジサイの季節
アジサイだらけ
冒頭に、エニグマ変奏曲より「ニムロッド」。拍手なしでとのこと、会場が大きな静粛に包まれました。
ppの柔らかさ、ffの迫力、決して大柄ではないハーディングですが、とても豊かな音楽でした。
演奏終了にはブラボ―とスタンディングオベーション。鳴り止まない拍手の中、楽団員が殆ど退場した頃、ハーディングとコンマスが肩を組んで登場、拍手に応えてくれました。
またハーディング指揮の演奏を聞きたいと思いました。
ただ、すみだトリフォニーホールのイスは私には大きすぎて、疲れました(^^ゞ
私は、本日22日のソワレを聴いてまいりました。詳しくは次回の「ブンダバー」に掲載予定です。