人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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保阪正康『東京裁判の教訓』

2008-08-15 05:40:20 | 近現代史
今年は、終戦から63年目、東京裁判の判決から60年目を迎える。6月には、先に取
り上げた服部龍二『広田弘毅』が出版されたが、それに引き続き7月に保阪正康
『東京裁判の教訓』(朝日新書、¥777)が出た。60年といえばちょうど2世代に相
当する。

東京裁判関係では児島襄『東京裁判』(昭和46(1971)年、中公新書)が必読書で
あるが、その他にも清瀬一郎『秘録 東京裁判』(中公文庫)、朝日新聞東京裁判
記者団『東京裁判』(朝日文庫)、近年では粟屋憲太郎・NHK取材班『東京裁判へ
の道』(NHK出版)、粟屋憲太郎『東京裁判への道』(講談社選書メチエ)が手に
入りやすい。

著者、保阪正康は昭和14(1939)年生まれ。「昭和史を語り継ぐ会」を主宰してい
る。「昭和史を語り継ぐ」という問題意識を持った、在野の現代史家である。

私も19歳の時に遠山茂樹他『昭和史 新版』(岩波新書)(*)を読んで以来、多
くの本によって戦前の昭和史を独学してきた。
(*)この本は、さまざまな「事実」をマルクス主義的な解釈によってまとめたも
のである。

東京裁判に関していえば、上記にあげた本は一通り読んだが、訴因の「平和に対す
る罪」、「人道に対する罪」は事後法である。法律的に、制限速度40kmを守って
走っていたら、実は1年前に遡及(そきゅう)して制限速度は30kmとしますとい
うことはありえない。「勝てば官軍」的な要素もある。

しかし、一方、A級戦犯でもあった木戸幸一元内大臣がいうように、結果的に狂信
的な軍人を一掃できた面などもある。
そういった東京裁判に関する一通りの理解をこの本は与えてくれる。そして、知る
ことと同時に考えることも教えてくれる。



ところで話はいきなり現代になるが、今ロシアがグルジアに対して行なっている、
ロシアいうところの「話し合いのための武力侵攻;侵略ではない」は、日本が日華
事変で中国に対して行なった理屈および行動と似ているのではないだろうか?ロシ
アはかつての「不戦条約」違反ではないのか?また、ロシアに対する米国の反応も
70年前の日本に対する態度と同様なのではないか?私は反米でも反露でもないが、
この頃そんなことを考えている。--NHK解説委員のお話を聴きたいところであ
る。(辛口コメントは「人生ブンダバー」に似合わないかしら?)



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