人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

アンジン

2024-11-27 05:00:00 | 読書

今年9月、図書館から『丸山眞男話文集4』(→こちら)という、
いささか難しい本を借りて、福沢諭吉の「脱亜論」に関する文を
調べていたら、同書に「私にとっての安東仁兵衛君 1977年4月/
1978年12月」という一文を見つけた。

これは安東仁兵衛の『戦後日本共産党私記』出版記念会における
丸山の挨拶である。


そういえば・・・・・・と、
安東仁兵衛『戦後 日本共産党私記』がどこかにあったはず、と
久しぶりに同書を引っ張り出してきて読んだ。

知る人ぞ知る「安東仁兵衛」(「アンジン」)は、昭和2(1927)
年生まれにして平成10(1998)年没(70歳)。

氏は一貫して「左翼」の中で活躍した人だが、同書には日本共産
党や1958年結成のブント(共産主義者同盟)など、東大を中心に
文字どおりそうそうたるメンバーが、「生々しく」登場する。

本書の登場人物は・・・・・・
野坂参三1892-1993
矢内原忠雄1893-1961
徳田球一1894-1953
有沢広巳1896-1988
大内兵衛1888-1980

志賀義雄1901-1989
井汲卓一1901-1995
古在由重1901-1990
蔵原惟人1902-1991
春日庄次郎1903-1976

神山茂夫1905-1974
真下信一1906-1985
春日正一1907-1995
清水幾太郎1907-1988
宮本顕治1908-2007

川島武宜1909-1992
中西功1910-1973
武谷三男1911-2000
梅本克己1912-1974
林健太郎1913-2004

丸山眞男1914-1996
野間宏1915-1991
日高六郎1917-2018
長洲一二1919-1999
篠原一1925-2015

力石定一1926-2016
渡辺恒雄1926-
氏家齊一郎1926-2011
高沢寅男1926-1999
沖浦和光1927-2015

武井昭夫1927-2010
坂本義和1927-2014
堤清二1927-2013
安東仁兵衛1927-1998
上田耕一郎1927-2008

不破哲三(上田健二郎)1930-
森田実1931-2023
正村公宏1931-2020
香山健一1933-1997

文春文庫に収められるにあたって、仮名を本名に改められている。


本書の最後は
「(1961年)7月8日、春日(庄次郎)は離党声明を発表した。同じく10日、私
(安東)は離党届を都委員会宛に送付した。

で終わっている。

共産党からすれば二人とも「除名」かな?
その後、春日庄次郎は編著として『社会主義への日本の道--日
本共産党綱領
草案への意見書』(1961/8/新しい時代社)を刊行。


文庫本解説は、「暖い前衛の記録」として辻井喬(=堤清二)。

これも「昭和史」の一断面と言えるかもしれない。

<目次>
 1.入党から六・二六ゼネスト
 2.全学連と党中央との軋轢
 3.幻影と敗北
 4.五〇年分裂と反帝闘争
 5.公然たる全党的分裂
 6.反レッド・パージ闘争
 7.スパイ査問・リンチ事件
 8.国際派・東大細胞の崩壊
 9.東大細胞の再建その他
10.六全協と復党
11.文教地区委員として
12.東京都委員として
13.七回党大会に向けて
14.七回党大会
15.『現代の理論』事件
16.安保闘争
17.離党へ


安東仁兵衛『戦後 日本共産党私記』(1980→文庫1995)


<参考書>

立花隆『天皇と東大』2005→文庫2012-13


池上彰・佐藤優『日本左翼史』


林健太郎『昭和史と私』1992→文庫2002



歴史上、日本共産党を除名された人(「大物」を含む)は何人も
いるが・・・・・・


松岡英夫・有田芳生編『日本共産党への手紙』1990
ソ連崩壊(1988~1991)を機に、どちらかというと左派の人々
から「日本共産党への手紙」としてまとめられたもの。

有田氏は、この本の出版がキッカケで日本共産党を除名されたと
いう。

本書発刊から30年以上たっても、この15人(皆さん亡くなった?)
は同様の「手紙」を書くのかもしれない。



松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』2023
松竹氏(昭和30年生まれ)もこの本をキッカケに日本共産党を除
名されている。(ご参考→こちら


繰り返しになるが、念のため、私は無党派であり、かつて「党派」に所属したこ
ともない。


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