人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

宮下誠『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)

2009-01-19 05:25:23 | 読書
アンチ・カラヤンのタイトルである。しかし本のタイトルというものは編集者が過
激につけることが多いので、内容をよく読まなければいけない。



「カラヤンは素晴らしい演奏を無数と言って良いほどに残している」
「しかし、一方、その音楽には人工楽園のような幻惑が充ち満ち、どこか作り物め
いた白々しさが消し去り難く存在していることも、また間違いない」

というのが著者の結論のようだ。アンチ・カラヤン論として、それほど目新しいも
のではないのではないだろうか。


クレンペラーへの記述もとくに目新しいものはないが、クレンペラーのことを初め
て読む人にとってはおもしろいだろう。

リハーサルのときに、ズボンの正面のボタンが開いていることを女性奏者が注意し
たら「それが音楽とどういう関係があるんだ」と言ったり、カラヤンには「カラヤ
ンくん、悪くないぞ。みんなが言うほど悪くない」と言ったり(--私も同じよう
に言ってみたい。)、数々の逸話が残っている。

私はクレンペラーのCDはカラヤンよりはるかに多く持っている。「第九」の最後
を、アッチェレランドをかけず、ゆっくりとしたインテンポで演奏されたのには脱
帽だった。


ケーゲルについては初めて知ることが多かった。ケーゲルは東ドイツの指揮者。東
ドイツがなくなることに絶望し、自殺してしまったのではなかったかしらん。
ケーゲルの演奏では「カリミナ・ブラーナ」を持っている。やや残響が多いが、合
唱がなかなかいい。





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