1月12日(土)長男の結婚式後、喫茶店で休憩し、三軒茶屋の昭和女子大
学人見記念講堂で開催されたワグネル男声現役の定演へ。
今回の定演は、畑中良輔先生が逝去されて初めての定演である。また、個
人的には下記プログラム4ステージの内、3ステージ--すなわちNo.1、2、
4を現役時代に歌った経験があるという、二重の意味でメモリアルな定演と
なった。
<プログラム>
富田正文作詞、信時潔作曲 慶應義塾塾歌 指揮;下河原健太
1.G.マーラー、福永陽一郎編曲『さすらう若人の歌』
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則 パーカッション;大里みどり
2.『シベリウス男声合唱曲集』
指揮;下河原健太
--休憩--
3.谷川俊太郎作詩、信長貴富作曲『五つのモノローグ』
指揮;藤井宏樹 ピアノ;前田勝則
4.G. Gagni作詞、G. MacDermot作曲 北村協一・前田勝則編曲
The American Tribal Love-Rock Musical 『HAIR』
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則 パーカッション;大里みどり
午後4時過ぎ、人見記念講堂に入り、真っ先に座席(指定席1F-ヘ-12)を
確認。ネット申し込みをした席は希望どおり(!)通路側だった。感謝!
まだまだ内側の座席が埋まっていなかったので、(マナーとして)開演5分前
までロビーで一人プログラムを読む。
プログラム上、現役の登録部員は46人(T1;11人、T2;10人、B1;13人、
B2;12人。学年別では4年8人、3年16人、2年11人、1年11人)である。
「追悼・畑中良輔先生」ページの先生方12名の「追悼コメント」には涙を禁じ
えず。(この日は午前中の結婚式から右脳の「感動神経」が敏感になった。)
以下はステージの、私なりの一つの印象である。聴衆が千人いたとしたら、
千分の一の、つたない感想である。他の方はどう聴いただろうか。
富田正文作詞、信時潔作曲 慶應義塾塾歌 指揮;下河原健太
ややゆっくりした塾歌(1番のみ)。声も出て、アンサンブルもよかった。
1.G.マーラー、福永陽一郎編曲『さすらう若人の歌』
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則 パーカッション;大里みどり
今年は、畑中先生の「レパートリー」だった、福永先生の名編曲『さすらう若
人の歌』を佐藤正浩先生が初めて指揮をされた。今回は、「make new」と
いうのか「新機軸」というのか、パーカッション付きでの演奏。要所要所のトラ
イアングル、シンバル、グロッケンシュピール、ドラ(タムタムというのかしらん
?3曲目の最後のタムタムに感動!オリジナルのオーケストレーションにタ
ムタムはあったかしらん。)などが効いている。
33人の合唱ということから、マスとしての迫力よりも、母音、子音、ピッチも
そろったアンサンブルもよく、ピアノ伴奏ともどもリリシズムにあふれた演奏
(--とくに第4曲「青い瞳が」で、交響曲第1番の第3楽章に転用された部分
は、前田先生のピアノとともに秀逸。)だった。伝統のドイツ語も安心。
音楽的には「指揮者が替われば、音楽も変わる」という当然の感想を抱い
た。演奏後は大きなブラボーがかかっていた。
2.『シベリウス男声合唱曲集』
指揮;下河原健太
この曲は、私にとって、現役時代、東西四連で木下保先生に振っていただ
いた曲であり、OBでも歌っている、なじみ深いものである。最初から男声合
唱曲--6つの短い合唱曲として書かれたものだ。
学生指揮者の下河原さんはおじぎの仕方ひとつとっても、この一年で成長
したように見受けられた。音楽そのものは、Topも力まずに歌っていた。
(Bassはかろうじて聴こえている部分もあったが(笑)。)後半の曲には大
きなrit.があったり、やや間を作ったり、なかなかおもしろかった。この曲もブ
ラボーが飛んだ。
3.谷川俊太郎作詩、信長貴富作曲『五つのモノローグ』
指揮;藤井宏樹 ピアノ;前田勝則
畑中先生のお弟子さんの一人であり、合唱指揮者として、また審査員と
して、全国的に活躍中の藤井先生を迎えたステージ。曲の内容としては、
文字どおり、「男の独白」を自由詩で歌ったものである。楽譜は見ていない
が、難曲だろう。藤井先生は両手を使っての、渾身の指揮、身体の中から
「表現」がわいてくるような演奏だった。
「4.父の唄」--「遠く行け息子よ/おれをこえて遠く行け」には、涙があ
ふれてきた。Bassソロの美声にビックリ!
終曲「5.頼み」では、なんといえばいいのかしらん、外へ放射するパトスに
満ちた演奏だった。
終わるとあきらかにドッと拍手が沸き起こった。
最後に、藤井先生から作曲者の信長さんが紹介された。終演後の拍手が
大きく続き、どんちょうがおりても、客席のざわめきが静まらなかった。
余談ながら、プログラム紹介にはなかったが、この初演はどこかしらん?
と調べたら、2010年岡山大学男声合唱団コール・ロータスの現役+OB
だった。指揮は上月明さん(岡山県合唱連盟理事長)であり、その指揮の
先生は、岡山県にあって有名な近藤安个さんであった。(近藤さんはまた
畑中先生のお弟子さんという縁である。)
プログラムに・・・・・・藤井先生が指揮者の道を歩まれる時にあった畑中先
生の進言--「オーケストラであれ、合唱であれ人前へ出て指示をすると
いうことは、技術や知識はもちろんだが、、人としての愛情、人格が最も重
要である」。
4.G. Gagni作詞、G. MacDermot作曲 北村協一・前田勝則編曲
The American Tribal Love-Rock Musical 『HAIR』
指揮;佐藤正浩 ピアノ;前田勝則 パーカッション;大里みどり
個人的には現役3年時代に歌った、けっこうキツイ曲である。ワグネルとし
ては40年ぶりと再演となった。
私の現役時代には、リズム感の悪いワグネルに、この終曲を畑中先生同
席のもと、北村協一先生に特訓していただいた。北村先生は指揮棒で鉄製
の譜面台をメトロノームのごとくチッチッチッチッと叩きながら、常にエイトビ
ートを感じて歌うようにとご指導いただいた。(この時、「エイトビート」という
言葉を初めて知った。)
第3ステージから5分以上の「準備」時間があったが、どんちょうが上がる
と、薄暗いステージには寝そべったりした、長髪(--むろんカツラ[ヘアー
ピース]だが(笑)。)ヒッピースタイルのワグネリアンが45人ほど。ピアノとパ
ーカッションが下手に配され、ジーンズスタイルの佐藤先生も下手での暗譜
の指揮、前田先生も本当にラフなスタイル。
しかし、その後は、佐藤先生もワグネリアン(振付付き)も舞台で動いた。
振付などは、大したことに、学生自身で考えたものらしい。曲目ごとに具体的
に書いていくとスペースがなくなってしまうので省略するが、リズム感、英語
の発音、意味を持った振付、照明もブンダバーだった。
そして、難しい終曲「Let The Sunshine In」(--大阪万博のカナダ
館でだったかしらん、記憶が断片的だが、19歳の私はこの曲をカナダ館ディ
スコで踊ったことを思い出す。鮮明に記憶しているのはよど号のハイジャッ
ク事件があった年だ。)ではなぜかしらん、涙が流れてくるのだった。
(追記)畑中先生はAquariusみずがめ座のお生まれだった!
最後は、会場と一体となった手拍子でおおいに盛り上がり、フィーネとなっ
た。練習もしていないにもかかわらず会場の手拍子のアインザッツが見事
だった(笑)。私もテノールで精一杯のブラボーをかけた。(6:31)
第4ステージ終了後はいつもアンコールとなるが、今回は、どんちょうの前
で10分ほど佐藤先生(「けしてこの路線を続けるわけではありません(笑)。
しかし、平和を祈るメッセージは大切にしていきたいものです」など)と藤井
先生(「こんなすばらしい場に呼んでいただき、ありがとうございました」など)
のトークがあった。お二人の初対面は、畑中先生のお宅で、ともに高校生だ
ったという。
6:41どんちょうが上がると現役諸君がブレザー姿で整列していた。藤井先
生、前田先生が登場。前田先生の前奏は「水のいのち」の「雨」であった。
ゆっくりした、デリカシーあふれる演奏であり、私にはブル先生への「レクイ
エム」に聴こえた。いや、ブル先生には「輪廻転生」の曲といったほうがふさ
わしいのかしらん。
続く佐藤先生のアンコールは、シューマンの「献呈」だったかしらん(*)。
学生指揮者のアンコールは、ア・カペラの立原道造「夢見たものは・・・・・・」で
あった。
(*)実際はF.P.シューベルト「An die Musik」。
いったんどんちょうがおりた後のステージストームでは、「若き血」、「我ぞ覇
者」、「丘の上」が奏され、大拍手で幕となった。
今回の定期演奏会は、畑中先生亡き後、負けずに「クレッシェンド」するんだ
という、先生方と学生(--いな学生と先生方というべきや。)の心意気が客
席にひしひしと伝わってきた。技術的には比較的力まないTopとアンサンブ
ルの向上に感心した。
先生方の音楽を、本番のみならず、少しでも吸収しようとする現役諸君の積
極的な姿勢が伝わってきた(といってはほめすぎかしらん)。私はさっそくライ
ヴCDを申し込んだ。
畑中先生がお聴きになったら、「ウ~ン、何といえばいいのかな~」と大変喜
ばれ、また安心されたことだろう。
昭和女子大学正門
開演前の人見記念講堂
この数年では見られぬほどお客様が入っていた。1階は90%以上は入って
いただろうか。2階も合わせると1,500人前後は入場されたかも。
(追記)集計結果は約1,300人だったようだ。
花束・プレゼント受付 整理におおわらわ
休憩時のロビー
終演後のロビー・ストーム
昭和女子大学食堂での打ち上げパーティー
写真は先生方の席(ヴォイストレーナー小貫先生は練習が重なり、ご欠席)
塩澤部長
「先生方、本当にありがとうございました。・・・・・・学生諸君、やがて始まる期末
試験もよろしく」(先生のコメントの一部 以下同じ)
佐藤先生
「指示されてやるのではなく、今年のようにあくまで学生が主体となってやるん
だということをいつまでも忘れないでほしい」
吉川会長「畑中先生ご逝去初の定演でしたが、諸先生方本当に有難うござ
いました」
藤井先生
「今までのワグネルにないものをやってみようと思いました。畑中先生にも聴
いていただきたかった」
大久保先生
「本栖湖の初合宿は初めての体験でした。今年は巳年で・・・・・・見事に脱皮し
てくれました。ミー(笑)」
前田先生
「『HAIR』の振付は12/28の時点ではどうなることかと心配しましたが、もの
すごい追い込みでしたね~(笑)。藤井先生は今までにない、考えさせる練
習で皆さんとまどわれたかな(笑)」
大里先生
「皆さん今回は勝ち組ですが、世の中甘くないですヨ。そんな時に戻って来れ
る所があることに感謝すべきです」
細長い打ち上げ会場 先生のお話は聴いているかな~(笑)。
* * * *
○昨年1年間に行った演奏会の回数を数えたら54回であった。
→いろいろな意味であまりに多すぎるので、今年はせいぜい月に3回に
したい。
○ツン読クが10冊以上溜まってしまった。
→今年はまたツン読クの解消を図りたい。
皆さまに支えられての「ブンダバー」です。今後ともよろしくお願いします。
ライブCDを申し込みました。完成したら、よろしければお貸しします。録音と生は全然違うでしょうが・・・・・・。
ちなみに「前口上」ではなく、「独白」ですね~。それとも捩(もじ)りカナ。
今日は伊東恵司さんの合同曲の練習でした。やはり合唱の天才でした。声を合わせる、そのためには音程・音色・息のスピードだと。多田武彦はやはりいいですね。柳川、雨、石家荘にて、富士山です。
音程ということについては、伊東さんの先生の福永先生が「(一人ひとりが)その音を出してください」と笑いながらおっしゃってましたね~。
合唱は音色作りが大変ですね~。「息のスピード」については、またの機会に詳しく教えてください。
ワグネルが単独で信長作品を取り上げるのは『くちびるに歌を』以来のはずです。
http://blog.goo.ne.jp/katsura1125/e/233590cbbbca9670835c52dd448bf202
たしかにそうでしたね~(笑)。
今年はワーグナー生誕200年!定演では現役+OBでワーグナーを歌い上げますのでお楽しみに!
検索したところCDになっていることを知り、すぐに注文しました
それが今日届いたので早速これから聴きます
因みにこのリサイタルはシューマンの「献呈」で始まります
CD鑑賞会やりませんか
句会ならぬオフ会ですね~。ぜひやりましょう。
私も希少盤(?)を持ち寄ります。スケジュールは別途・・・・・・。