第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞「おくりびと」を観た。
あまり詳しくストーリーは書かないが、亡くなった人に死装束を着せる納棺師のお
話である。主演は本木雅弘、広末涼子。
本木演じる納棺師の妻の明るさに涙が出た。最初誰だったかな?と思った(笑)
が、広末涼子だった。広末も28歳になる。以前をあまり知らないのだが、自然体で
なかなかうまかった。
この映画、一面では音楽映画(飯森範親と山形響が出演していた。)であり、一面
では食事の映画でもある。舞台は山形県庄内平野。山形県出身の方には懐かしいこ
とでしょう。
山崎務が実に味のある演技をしている。音楽でいえば、楽譜が見えないというレベ
ル。なんでこんなにうまいの?ズルイよという思いである。(山崎務は「天国と地
獄」から観ている。)
脇を、吉行和子、余(よ)貴美子、笹野高史、山田辰夫が固めている。皆うまい、
味わいがある。先日亡くなった峰岸徹も終わりのほうで登場する。
ユーモアも随所にあるが、「死」と向き合う映画だけに、ワッハッハという笑いで
はない。
「人は誰でもいつか、おくりびと、おくられびと--」(「おくりびと」プログラ
ムより)
ご覧になる方は、ハンカチを2枚お持ちいただきたい。
最新の画像[もっと見る]
葬儀の日、母は、黴臭くなった父の遺品の着物に黙々とアイロンをあてていました。
そうすることで何かを振り切ろうとするかのように。
僕は父の死装束には角帯を締めて上げたくて、周囲の年配者に
訊ねましたが、誰一人として角帯の締め方を知りませんでした。
父の2歳年上の伯父も「うーん、角帯は締められんなぁ
アキラ(父の名)は上手いこと締めておったが」というばかり。
結局、角帯を締めるのは納棺師(こんな職業名だったんだ)に
委ねられました。彼はいとも無造作に、父の体をおっころがすようにして
帯をぐるぐると巻きつけ、最後は蝶々結びにしてオシマイ。
なんともザハリッヒな仕事振りであります。
でも、むしろ「哀号」などと職業的に泣かれるよりは、いっそのこと
さばさばして良かったのかも知れません。
若い頃、父に角帯を締めてもらいました。
「なんと、お前の胴は細いなぁ」といいながら、二重回しにする
ところを三重に巻きつけたので、とてもみっともない仕上がりでした。
だから「貝の口」の締め方を教わることもありませんでした。
年移って、あの頃の父の年齢になり、正月には着物を着ます。
今では角帯も締められるようになりました。
技術的にも、体型的にも。
「おくりびと」今も上映中ですね。
会社の帰りにでも観に行こうかしらん(katsuraさん口調)
きっとハンカチ2枚では足りないと思います。
「亡くなられたお父様もきっと喜ばれたことでしょ
う」--というようなことは「30年」前の私だったら
もしかしたら申し上げなかったかもしれませんし、申
し上げたとしても「言葉の重み」がなかったかもしれ
ませんが、今は本当にそう思います。お互いに(か
な?)そういう歳になったのかもしれませんね。
(「ちなみに」私の父は来年で没後「30年」。急逝し
た日のこと--土曜日だった--が、つい昨日のこと
のように思い出されます。)
ハンカチは使いませんでした。
ただ涙の流れるにまかせておりましたので。
「Lascia ch'io pianga 」・・・ピッタリの題ですね
~。(泣きそ~。)
会社で聞いたら、この映画、周りの人(male or
female)がずいぶん観に行かれていました。
人によって誰(俳優)がよかったというのが異なると
ころがおもしろい!です。