12月19日(木)、昨年に引き続き㈱ぷらう主催、『海道東征』を聴
く(東京芸術劇場)。
主催者㈱ぷらうの石川社長は、『海道東征』演奏会を「第九」同様、
「年末恒例の文化事業」としたいという。
当日、友人に
「今日は『海道東征』です」
とメールすると
「日本に生まれてよかったですね~」
と返信が来る。
いささか余談だが、この演奏会は、チケットがS8000円、A6000円、
B4000円と3段階あること、座席が選べることがありがたい。
私は、3階H-56を選択。ステージから遠いが、音は大変いい(出演者
のお顔を確認しなくてもいい人はここを選ぶべし?)。
<プログラム>
1.ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
--休憩--
2.信時潔 交声曲『海道東征』(作詩;北原白秋)
第1章高千穂--男声独唱・合唱
第2章大和思慕(やまとしぼ)--女声(独唱・重唱)
第3章御船出(みふなで)--男声女声(独唱・合唱)
第4章御船謡(みふなうた)--男声独唱・合唱
第5章速吸(はやすい)と菟狭(うさ)
その一男声独唱~童声あるいは女声合唱
その二男声女声(交互に唱和・合唱)
第6章海道回顧--男声女声(交互に唱和・合唱)
第7章白肩(しらかた)の津上陸--男声(独唱・合唱)
第8章天業恢弘(てんぎょうかいこう)--男声女声(独唱斉唱・合唱)
指揮;北原幸男
Sop.;森谷真理
Sop.;盛田麻央
Mez.;小泉詠子
Ten.;樋口達哉
Bari.;原田 圭
合唱;東京混声合唱団(合唱指揮;キハラ良尚)
児童合唱;世田谷ジュニア合唱団(合唱指揮;掛江みどり)
管弦楽;東京交響楽団(コンサートマスター;G.ニキティン)
つたないながら、いささかのコメントを
1.ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
北原さんはニキティンさんと同じくらいの長身かしらん。
弦楽五部は14型(14-12-8-10-6)。オペラグラスを忘れたので不確
かだが、この日のオーボエは荒木さんかしらん。フルートは女性奏
者(どなた?)。ファゴットは福士さん?クラリネットはE.ヌヴー
さんが入っているようだ。
(1)出だしからつかまれる。北原さんは、上体の力を抜いた、ほぼ直
立の指揮ぶり。休符もきっちり拍を刻む。前へ前へと推進力のある
演奏。ティンパニも効いている。
第1楽章が終わると大きな拍手が起きた(北原さんは当たり前に客席
を振り向かない)。
(2)低弦の開始。じわじわクレッシェンドで、だんだん指揮ぶりが大
きくなっていく。テンポの切り替えもスムーズ。もたれない演奏だ。
この楽章、あらためて、ベートーヴェンは天才だと思う。いい所で
プログラムなどを落とす人がいたのはLIVEらしい?
(3)北原さんの両手が休まない。クレッシェンドからのfがすばらし
い。
(4)やや速めのテンポかしらん。ボウイングの動きがすばらしい。一
時の弛緩もない演奏だ。北原さんも、身体を揺らす、大きな指揮で
振り切った。
拍手以上に、実にいい演奏だった。
--休憩--
2.信時潔 交声曲『海道東征』(作詩;北原白秋)
合唱は東混。東混というと40人くらいというイメージを勝手に持っ
ていたが、ふたを開けると60人強の人数。
第1章高千穂--男声独唱・合唱
Bari.原田さんの第一声「神ましし」が、kやm等やや子音を立て、
言葉がはっきり聴き取れ、すばらしい。
「はるかなり」の合唱が、これまたすばらしく、胸がふるえそうに
なる。人数的には60人強で不足なし。さすが東混である。
Ten.樋口さんのソロも3階まで届く声量、言葉とも申し分なく、大満
足!日本語の子音の立て方(発語)などどこで勉強されたのかしら
ん。
イタリア語を上手く歌える人は多いけれど、日本語はなかなか難し
い。
第2章大和思慕(やまとしぼ)--女声(独唱・重唱)
3人の女性ソリスト登場。そのアンサンブルもバランスが取れている。
ただ、少々敢えて言えば、3人の中で、盛田さんも小泉さんも歌詩が
飛んでくるが、この日のSop.森谷さんは(--今や大活躍。)やや
言葉(発語)が聴き取れない傾きがあったかしらん。
第3章御船出(みふなで)--男声女声(独唱・合唱)
合唱がすばらしい。Sop.パートの五線の上もまったく不安を感じさ
せない。
もしかすると、同曲の合唱について、私が聴いた中で一番いいかも
しれない。まったく立派なコーラスだ。
第4章御船謡(みふなうた)--男声独唱・合唱
ピアノ伴奏によるBari.独唱(北原さんは振らない)--やや大和言
葉風に子音を強調した歌唱が実に見事だ。このBari.ソロをこれだけ
上手く歌える人は少ないのではないかしらん。
続く、Ten.ソロもキッチリした芯のあるスピントで、言葉もハッキ
リ。合唱も好調で、腹筋を十分使った「ヤ」の掛け声も決まってい
る。
(1分間の間に、30人ほどの児童合唱が下手より入場)
第5章速吸(はやすい)と菟狭(うさ)
その一男声独唱~童声あるいは女声合唱
原田さんのソロ--高音はfとかf♯かしらん。かわいらしい、わら
べ歌風の児童合唱は暗譜でよくそろっている。
その二男声女声(交互に唱和・合唱)
(児童合唱が足早に下手に退場)
第6章海道回顧--男声女声(交互に唱和・合唱)
Ten.ソロ、Mez.ソロに続く、合唱の曲もいいが、演奏もいい。
第7章白肩(しらかた)の津上陸--男声(独唱・合唱)
立派な声の男声合唱!
第8章天業恢弘(てんぎょうかいこう)--男声女声(独唱斉唱・合唱)
シンメトリー構造で、最初に戻ってきた。クライマックスの大合唱
がまことに感動的だった。
カーテンコールには、合唱指揮者お二人も登場。
小澤さんの弟子、生のキハラさんを初めて見た。
アンコール的に
○学習院院歌(昭和26)
安倍能成作詩、信時潔作曲
卒業生かしらん、直立不動で起立する人が散見される。
信時潔戦後の作品の一つで、これもじつにいい曲だ。スネアドラム
が入る。ジ~ンとする、感動的な曲だ(--ネットでも聴くことが
できる)。昭和26年当時は Occupied Japan。
ちなみに安倍さんは新制学習院の院長。
○海ゆかば(昭和12)
大伴家持言立、信時潔作曲
『海道東征』などとともに信時潔の傑作の一つ。
短い前奏から2回繰り返す。東京混声合唱団はまったく上手い。
多くのブラボーがあがった。
お開き後、平川祐弘先生(東大名誉教授。『平和の海と戦いの海--
二・二六事件から「人間宣言」まで』を愛読。)を「発見」。ぶし
つけながら、
「先生、今日の『正論』(産経新聞)を拝読しました。いつまでも
お元気で、頑張ってください。来年もお会いいたしましょう」
とお声掛けする。
先生は、まことに穏やかに、
「(今日の演奏)よかったですね・・・・・・」
すると、後ろからトントンと肩を叩かれる。
振り返ると、私を見ながら、右手をあげて「やあ」という人がいる。
こちらも「あ~、どうもどうも」とお返ししたが、よく見ると全然
見知らぬ人だった。
出口で石川社長が立っておられたので、ここでもご挨拶。
「よかったです~!昨年も聴きに来ましたが、来年も聴きに来ます」
「ありがとうございます。来年は12月22日です。出演もほとんど同
じです」
プログラム
16:55 自由が丘--叔母さん訪問を終えて
17:19
17:28 スープストックで夕食
17:33
17:44 ほとんど女性客
18:12
18:14
18:16 東京芸術劇場1階
18:17
18:19
18:20 ポスター
18:20 大ホール前
18:23 チケットもぎり中
18:24
18:27 数種類のCDなどが販売されていた。
私は「信時潔没後50周年記念演奏会」LIVECDを愛聴している。
いい演奏といい録音。指揮は湯浅卓雄。
18:27 18:30の開場までロビーで待つ。
18:30 ジャストに開場。
18:32 3階客席へ
18:32
18:33 3階のバーラウンジ
18:37 開演前
19:44 「ベト7」後の休憩中
19:45
19:49
19:51 2階席と3階席
19:52
21:10 お開き 大健闘の東混に拍手が送られる。
21:12 マイシート
21:12 中国人も聴きに来ていた。
21:14
21:18
21:19
21:19
21:20
21:32 池袋
21:45 渋谷
22:13 あざみ野
22時25分帰宅。
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昨日は上皇さま86歳のお誕生日。
新聞報道によれば、上皇さまは、天皇、皇后両陛下、秋篠宮さまの
なさりように一切意見は言わず、質問もされないという。小泉信三
ですね~。
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