人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

新田次郎『小説に書けなかった自伝』 D.ハルバースタム『朝鮮戦争』 加藤一二三『将棋名人血風録』 etc.

2012-10-22 05:00:00 | 読書

このところ「音楽」ばかり取り上げていたが、このあたりで「読書」に戻りたい。音
楽は聴いた瞬間に消えていくが、本は読み返すことができる。


新田次郎『小説に書けなかった自伝』(新潮文庫)★★★★★                  
今年は、新田次郎100年である。新田次郎は、本名藤原寛人(ひろと)。次男は
数学者藤原正彦である。
本書は中央気象台(現気象庁)に勤務しながら小説を書いた新田次郎の自伝
である。帯には「昼働き、夜書く」とある。

小説家の自伝だけあって、文章表現がうまいことはいうまでもないが、内容も
おもしろい。
新田次郎が「サンデー毎日」の懸賞で一等になり、丹羽(文雄)学校に何も分か
らずに参加するところなどはまことにおもしろい。
サラリーマンでありながら小説家としても収入を得ている新田に対する同僚の
ねたみ・そねみなども抑えた筆致で描かれている。
新田は山岳小説家といわれるのは嫌いだったようだ。
新田次郎ファン(--私の息子もそうであるが。)にはおすすめである。




D.ハルバースタム『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争』(文春文庫)
★★★★★
文庫にして600P×2冊の大作。D.ハルバースタム最後の著作(21冊目)であ
る。『ベスト&ブライテスト』で有名なハルバースタムは、この本の最終稿(ゲラ)
に筆を入れた5日後に交通事故に遭い、73歳の生涯を終えた。

朝鮮戦争は、私が生まれた年に起きた。当時は朝鮮動乱と呼ばれていた。
そもそもは、金日成がソ連の支援を受けて南進の準備を進め、昭和25(1950)
年6月25日に南朝鮮(韓国)に攻め入ったのが始まりである。(--一般的にい
えばそれは「侵略」ということになるのだが。)
このノンフィクションには、金日成、スターリン、毛沢東、李承晩、マッカーサー
はじめ、彭徳懐、周恩来、林彪、蒋介石、リッジウェイが登場するのはむろんの
こと、ハルバースタムがインタビューした米軍将校、兵士とともに朝鮮半島にお
ける激戦が描かれている。インタビューはむろん西側--米国側に限られてい
る。
当時の大事件だった、トルーマン大統領によるマッカーサー解任(*1)~その
後の米議会公聴会(*2)なども詳述されている。
 (*1)日本では羽田までの沿道を25万人が見送り、ニューヨークでは700万
 人が熱狂的に出迎えたという。
 (*2))「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」という言葉が飛び出した。

また朝鮮戦争が与えたベトナム戦争への影響(「中国での失敗がベトナム
(戦争)を生んだ」)も「歴史の流れ」として書かれており、おもしろかった。
(第二次世界大戦~朝鮮戦争、そしてベトナム戦争は民主党の時代に発生し
ている。)

久しぶりに熱を入れて読んだ。







(関連図書)
神谷不二『朝鮮戦争』(中公文庫)

萩原遼『朝鮮戦争』(文春文庫)

A.V.トルクノフ『朝鮮戦争の謎と真実』(草思社)

林建彦『北朝鮮と南朝鮮』増補新版(サイマル出版会)
学生時代に初版を読んだ。冷静客観的な筆致がすばらしい。歴史にも耐える
ものといえようか。




加藤一二三『将棋名人血風録』(角川oneテーマ21)★★★★
私が小学生--それも低学年のの頃、愛読していた『少年サンデー』だったか
『少年マガジン』だったかに、加藤一二三が将棋のコーナーを持っていた。その
頃、加藤は「神武以来の天才」といわれていた。私からすればかなり年長と思
われたが、実際には10歳しか離れていない。A級在籍通算36期は、ゴルフで
いえばAOクラスかしらん。

その加藤一二三が歴代の将棋名人について語ったのが本書である。棋士の世
界はサラリーマンのそれとはまったく違うのでおもしろい。個性が強いといえば
いいかしらん。(--サラリーマンの場合は個性が強いとマイナスになることが
多いようだが。)将棋好きだった父に紹介したら喜んだことだろう。




(上記関連図書)
中平邦彦『棋士・その世界』(講談社文庫)昭和54年7月15日刊★★★★★
将棋を担当する新聞記者が、当時の棋士のエピソードをまとめたもので、大変
にひきつけられる。新聞記者が書いた文章で読みやすい。




河口俊彦『一局の将棋 一回の人生』(新潮文庫)平成6年4月25日刊★★★★
プロ(棋士)が将棋の世界について書いたものである。棋士の中でも文章家。
その道で評価されているようだ。ちなみに河口さんは囲碁が強い棋士として
有名。現在、75歳である。





重光葵『外交回想録』(中公文庫)★★★★★
今年は、重光葵生誕125年である。重光は外交官、戦後は政治家になった。
戦前は「軍部」の強い時代だったが、重光は外交官として、国際法の中で、大
国とやりあった、といえばいいのだろうか。戦前~戦時中は駐ソ公使、駐英大
使、外務大臣、戦後も外務大臣を務めた。本書は、重光が自身と「歴史」のか
かわりを記録したものである。



<関連図書>
重光葵『昭和の動乱』(中公文庫)★★★★





<お知らせ>
11/23(金・祝)「生誕125年 信時潔とその系譜」(津田ホール)
チラシができました。



今月号の『音楽の友』(11月号)より
○Concert Reviewsに、9/14新日本フィル「ドイツレクイエム」の演奏会評が
 載っていた。
 「オーケストラは長丁場に些細な出来事もあったが、清濁あわせのみ、見事
 な全体像を構築した。しかしながら、立役者はなんといっても合唱団」(原文
 のまま)
 と締めくくられていた。私の感想とはいささか印象が違うようだ(→こちら)。
 もっともこの『音楽の友』の評は、私が聴く前日の演奏会評なので別物とい
 えば別物だが(笑)。

○今月は「このヴァイオリニストをマークせよ」という特集だが、「ヴァイオリニ
 スト&ヴァイオリン・ニュース」として、既に新聞報道のとおり「諏訪根自子
 死去92歳」が掲載されていた。諏訪根自子は私の母と同世代。ヴァイオリ
 ンの天才美少女として有名だった。諏訪を書いた、深田祐介『美貌なれ昭
 和』を読みたいが、なかなか難しい。(図書館も順番待ち。)

○「世界初演 富田勲新制作『イーハトーヴ』交響曲」の宣伝が大きく載っていた。
 11/23(金・祝)東京オペラシティコンサートホール
 指揮:大友直人 管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
 シンセザイザー:篠田元一
 合唱:慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB男声合唱団/慶應義塾ワグ
 ネル・ソサィエティー男声合唱団/聖心女子大学グリークラブ/シンフォ
 ニーヒルズ少年少女合唱団
 曲目
 富田勲新制作「イートハーヴ」交響曲
 交響詩ジャングル大帝(2009年改訂版)白いライオンの物語より
 山田洋次監督映画音楽メドレー
 NHK大河ドラマ「勝海舟」メインテーマ
 (曲目は変更する場合あり)



10月20日(土) 一か月前まで猛暑だったが、急に秋がやってきた。
ドウダンツツジの紅葉も進みつつある。(下の写真)




10月21日(日) 寺家ふるさと村方面へウォーキング


たわわに実る 桐蔭学園付近


「吉野家ファーム神奈川」の看板が立つ田んぼ
向こう側は 名門鉄(くろがね)小学校 横浜市でももっとも古い小学校の一つ
--創立は明治6(1873)年。明治政府は明治6年から多くの小学校を作っ
た。


鶴見川(谷本川) 河口から27km付近 寺家ふるさと村はすぐ近く


青葉台駅前の上島珈琲店


ホット340円 ホッとする(笑)





近所の公園で ハロウィーン大会


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