昭和45(1970)年に入学、ワグネルに入部したときから関学グリーの名前は聞いて
いた。クラブ活動にも慣れたある日、4年のK先輩がご自宅でTopの新人を対象にレ
コードコンサートを開催してくださった。そのとき聴いたのが昭和42(1967)年の
四連における関学の「中原中也の詩から」(多田武彦曲、北村協一指揮)である。
言葉さばきのうまい「汚れちまった悲しみに」と純正調でビシッとハモった「月の
光」がとくに印象に残っている。
* * * * *
昭和47(1972)年7月、関西における四連合同曲は、畑中良輔先生による「フィデ
リオ」より「囚人の合唱」と、「さまよえるオランダ人」より「水夫の合唱~幽霊
船の合唱」だった。
前年の四連で合同曲「Hymne an Die Musik」を指揮された木下先生も「さすが関学
です。(私の)初めての練習で譜面を落としていました」とおっしゃっておられた
が、47年の四連で関学グリーの真の実力を思い知ることになる。
「水夫の合唱」は「同志社・早稲田」、「幽霊船の合唱」は「関学・ワグネル」と
いう組み合わせだった。
ゲネプロ当日、畑中先生は「早稲田とワグネル」、「同志社と関学」、別々に総練
習をされた。最初の「早稲田とワグネル」の出来はあまりかんばしくなく、事実、
演奏会を直前にして先生の注意がいくつかなされる。
「同志社と関学」の番になり、「同志社は少人数ながらなかなか頑張っているな
ぁ」と思いながら聴いていたが、関学のオランダ人が「ヨーホエー」と始まって4
小節ほどして身を乗り出してしまった。一糸乱れぬ演奏!とはこのことだ。関学の
オランダ人を、ぼくはまるで呼吸をすることすら忘れて聴いていた。その同志社と
関学の演奏が終わると、畑中先生はとくに注意を与えることもなく、一言静かに
「結構でした」と言われた。
* * * * *
時は流れて、平成16(2004)年10月31日の第一生命ホール(東京都中央区晴海)。
オール関学グリーの演奏会が開かれた。そこで聴いた関学グリー+新月会の「空の
翼」と「Old Kwansei」をぼくは一生忘れないだろう。とくに「空の翼」は北村先
生の指揮の下、まことにリズム感のあるインテンポな演奏で、メトロノームの音が
聞こえてくるようだった。聴いているうちに我を忘れ、ぼくの目から涙があふれて
きた。演奏が終わるや、気が付くと大声で「ブラボー」を叫んでいた。
(「卒業30周年関学グリー・慶應ワグネル合同同期会旅行記念エッセー集」より)
来年2月11日(木・祝)には久しぶりに関学グリーの東京演奏会が開催される。
(大田区民ホール・アプリコ 大ホール)
最新の画像[もっと見る]
私も大阪在勤中、通算7年間は関学グリーのリサイタルを聴きに行っておりました。
当時は林先生がミサを、北村先生は多田武彦などの曲を振っておられましたし、畑中先生も客演されていました。
時代は変われど純正調のハーモニーは関学ならではのもの。これからも関学のメンタル・ハモニーを聴かせてくれるでしょう。
関学OBとして嬉しい限りです。37年前、オランダ人の時は、学指揮Tさんから一人ひとり、できるまで特訓されました。
最近は戦力としての人数も整ってきており、メンタルハーモニーをモットーに、合唱ファンを魅了し続けてくれるものと思います。
関学は、ミサ等宗教曲、多田氏等日本語の曲、黒人霊歌、バーバーショップなどなどに伝統の重さを感じますね~。
またリズム感と英語の歌を教えてください。