先日の都民芸術フェスティバルでは、女性指揮者齋藤友香理さん
の指揮で東響の演奏を聴いた(→こちら)。
女性指揮者聴き比べではないが、3月2日(水)、都民芸術フェス
ティバルに阿部加奈子/新日本フィルを見つけ、聴きに行く(東
京芸術劇場)。
この日はすべてドヴォルザークの作品--いずれも19世紀の作品
だ。
阿部さんは、藝大「作曲科」卒業。その後、パリ国立高等音楽院
指揮科で学ぶ(ご参考→こちら)。現代音楽の紹介を中心にヨー
ロッパで活躍されているという。
私も阿部さんは初めてだが、新日本フィルとは初顔合わせである。
阿部さんは昨年末に「来日」、この日に備えていたという。
都民芸術フェスティバルのオーケストラシリーズは、A席4千円、
B席3千円、C席2千円。コストパフォーマンスでいえば、A席と
C席がよく、さすが両席はよく入っている。
この日の私はB席(3階-D-52)。周りにはあまり人がいない。
<プログラム>~オール・ドヴォルザーク・プログラム
1.序曲「謝肉祭」 op.92(1891年作曲)
2.ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53*(1879年作曲)
--休憩--
3.交響曲第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」(1893年作曲)
指揮:阿部加奈子
ヴァイオリン:北川千沙*
新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:西江辰郎
午後7時3分、オケが拍手で迎えられる。
4分、コンマス西江さんが登場し、チューニング。
オーボエ首席は岡さんかしらん。フルート:野津さん、クラリネ
ット:ミランダさんという顔が見える。
ややあって、阿部さんが黒の上下。スラックスで登場。長身だ。
パッと見たところ、コンマス西江さんと変わらない身長だ。
阿部さんと西江さんが肘タッチ。
1.序曲「謝肉祭」 op.92(1891年作曲)
この日の弦楽5部は14型(14-12-8-10-6)。出だしの30秒のツカ
ミが速めのテンポですばらしい(ジョージ・セルを思い出す)。
両足を大きく開き、打点のはっきりした指揮だ。音楽も実にメリ
ハリがある。弦のカンタービレが美しい。
ラストはまた華々しく、見事な演奏!
終わると、木管以降に「はい、立って立って」と指示。最後は全
員を立たせた。(概算演奏時間:10分)
2.ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53*(1879年作曲)
ドヴォコンといえば、チェロ協奏曲だが、ヴァイオリン協奏曲も
味わいがある(ヴァイオリン協奏曲の方が作曲年代は早い)。ホ
ルンの吉永さんのお顔を確認。
ソリストの北川さんはいまだ学生さんかしらん。8つの国際コンク
ールに優勝。2020年日本音楽コンクール1位の逸材だ。濃紺とい
うか黒っぽいドレスで登場。
北川さんは、オケと一体となった、弓をたっぷり使った、大きな
演奏。所々にテンポの伸びも現れる。北川さんの上手さが光る。
体を揺らしながらの堂々たる演奏だ。バックも上手い。ティンパ
ニも支えていた。
終わると北川さんは、阿部さん、西江さんと肘タッチ。笑みを浮
かべて、丁寧なおじぎ。
アンコールは、静かなバッハ。--無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
第2番第3楽章アンダンテ。(2分40秒)。
ブラボーを叫びたくなった。
--休憩--
第3ステージ、8時15分とノートメモ。オケが入場と思いきや、目
を上げると、阿部さん一人がマイクを持って登場、大きな拍手で
迎えられる。
(落ち着いた低音でゆっくりと・・・・・・。初顔合わせのご挨拶かな
と思って聴いていると・・・・・・、以下は大意)
「皆さま、本日は有難うございます。今、ウクライナで起こって
いることについて、皆さまも心を痛めておられる方も多いと思い
ます。
戦争は始まってしまうと、敵も味方もなく、不条理なことが起こ
り、悲しい連鎖となってしまいます。--そのことを、人類はそ
ろそろ学ばなければなりません(会場が静まり返る)。
これから演奏する曲は、ドヴォルザークが遠いアメリカで、より
強い望郷の念にかられて作曲しました。
我々が愛する家族、愛する国が末永く平和でありますように、音
楽に込めて演奏いたします。どうぞお聴きください」
(いったん退場。ジ~ンと来た。)
感動した多くの聴衆から大変な大拍手(「大変な大拍手」という
表現はいささか「馬から落馬」的?)となった。
3.交響曲第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」 (1893年作曲)
(1)短めの序奏。低弦からの開始だ。Allegroの主部に入ると、最
初から、文字どおりAllegro moltoの熱のこもった演奏。大きな
指揮ぶりで、デュナーミクも大きく、若々しい演奏だ。木管の
アンサンブルもすばらしい。(9分20秒)
(2)第2楽章は指揮棒を置いての指揮。(複合)三部形式。
イングリッシュホルンのメローディーが新鮮に響き、感動的だ。
中間部はアゴーギクよろしく、大きく揺らす指揮。打点からわず
かに遅れて音楽が出てくる。
中間部でコントラバスのピッツィカートが隠し味となっているこ
とに気づく。イングリッシュホルンが再び三度登場。音色に酔い
しれる。
イングリッシュホルンに勝るとも劣らず、中間部が魅力的だった。
(12分35秒)
(3)再びの指揮棒。ティカティッティティララと速めのスケルツォ。
トライアングルが登場。ティンパニの思い切った強打に盛り上が
る。弦がきれいで、木管アンサンブルもすばらしい。(7分45秒)
(4)終曲はいきなりの熱い演奏。新日本フィルが実力発揮で燃え上
がる。いったん静まるが、後半はトランペットも加わっての熱演。
阿部さんはここぞとばかりヴァイオリンパートを向く。念を押す
指揮がすばらしい。終わりそうで終わらないCodaは、最後にゆっ
くりdim.した。(11分)
終わると、今はブラボーのない、大きな拍手がどっと来た。
阿部さんは、大拍手の中、自ら手を叩きながら、イングリッシュ
ホルン、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホル
ン、トランペット・・・・・・と次々に立たせていく。
何回かのカーテンコール後、阿部さんが「アンコールを」。
アンコール曲は、スメタナの歌劇『売られた花嫁』序曲。
これまた、弦のチェコフィル真っ青!奏者の左手も小刻みに動く。
「通り一遍」でなく、なかなか聴けない、ティンパニの強打あり、
速い、凄い演奏。息づまる6分45秒だった。
この日はスメタナの198回目の誕生日だった。
最後はオケも一緒に阿部さんに拍手。
またの機会があれば、阿部さんを聴きに行きたい。
終演:午後9時15分
プログラム
17:25
17:26 自由が丘
17:49 池袋
17:51
17:52
17:53
17:55
17:56
17:57 一度孫と聴きに来ようかな。
17:58
17:59
18:01
18:03
18:07
18:14 ホール内は15分にオープン
18:17
18:19 上着を衣類入れに入れて
18:43 開演15分前
19:56 休憩へ
20:01 休憩中
20:12 これより第3ステージ
21:15 お開き
21:15 分散退場待ち
21:17
21:18 1階席は空に
21:22 袋を回収箱へ
21:23
21:25 3月だ。
21:28 東京メトロ副都心線へ
21:31 池袋
21:44 渋谷
21:45 急行に飛び乗る。
22:15 あざみ野着
22:24 道路が雨に濡れていた。
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