歴史好きの友人から勧められた、細谷雄一『歴史認識とは何か--
日露戦争からアジア太平洋戦争まで』(新潮選書、2015)を読んだ。
著者の細谷氏は、現在、慶應義塾大学法学部教授。立教大学法学
部を卒業している。昭和46(1971)年生まれというから、今年45歳
になる。
細谷教授の著書を読むのは初めてだが、おもしろかった!
「日露戦争からアジア太平洋戦争まで」の歴史について、単なる日本
史ではなく、「世界と日本」という広い視座から書いている。
著者は、
左派、右派ともに、歴史が運動とあまりにも深く結びついてしまった。
と指摘し、
かつては、マルクス主義的な歴史学が、共産主義社会を実現する
ための道具として歴史学を利用してきた。・・・・・・他方で、現代では
右派のナショナリストたちが、日本の歴史的正義や国民的なプライ
ドを回復する手段として、歴史を利用しようとする。(p47~48)
と批判している。
昭和6(1931)年の満州事変について、著者は
多くの(当時の)日本人は、パリ不戦条約の意義を、必ずしも世界
史的な視座から理解していたわけではなかった。(p128)
と書いている。
そのとおりだろうし、そのとおりどころか、いまだに、満州事変をjustify
しようとする論があるのは残念だ(--さすがに歴史学者で満州事
変をjustifyする人はいないかしらん)。
満州事変の原因は「いろいろ」あるにしても、である。
(「いろいろあらぁな」は東京ぼん太?)
<目次>
はじめに
序章 束縛された戦後史
1.村山談話の帰結
2.歴史学を再考する
3.戦後史を解放する
第1章 戦後史の源流
1.戦後史への視座
2.平和主義の源流
3.国際秩序の破壊者として
第2章 破壊される平和
1.錦州から真珠湾へ
2.第二次世界大戦の諸相
3.戦争の終幕
終章 国際主義の回復は可能か
あとがき
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