一橋学院の時代～林忠彦『文士の時代』 時事放談？

私が通った受験予備校は、今も高田馬場にある一橋学院だ（以前、
書いたかしらん）。当時は夏でも冷房設備のないすし詰め教室だっ
た。
学院長の金子泰蔵先生による英語の授業も年に一回ほどあった。

何分にも50年以上前のことなのでだいぶ記憶が薄れているが、何人
かの先生の名前は今でも覚えている。
日本史：羽生、数学：川又、英語：中内（正夫）といった先生方だ。
（他の先生の名前は、お顔が浮かんでも、なかなか思い出せない。
教えていただける方がいるとうれしいのだが･･････）。


中内先生（当時中央大学教授）の英作文授業では、「英語らしい表
現」を教えていただいた。
授業は、テキストの課題（和文英訳）を生徒が自由に黒板に書き、
それを中内先生が添削する方式だった。
ある時、私が書いた英文を「これですッ。すばらしい！こういうの
を書いてほしいんですね～」と激賞されたことが忘れられない。
－－もっとも、たった一回だけだったが（笑）。


現代国語の先生の名前は思い出せない。その先生は、終戦時、幼い
時に満州から命からがら引き上げてきた経験をいささか話しておら
れた。当時は30代前半だったのかしらん。

その先生が、ある時、黒板にきれいな字で「文人気質（かたぎ）」
と書いた。たしか、今は「文人気質」は残っているのだろうか、と
いう意味だったのはなかったかしらん。

「文人」と「文士」はどう違うのか。
手元の辞書によると･･････
文人：文芸を仕事としたり、余暇を利用して文芸に親しむ人
文士：小説などを書くのを職業とする人。職業作家。
今は「文士」という言葉も死語かもしれない。



前置きがすご～く長くなったが、林忠彦『文士の時代』（中公文庫）
はおもしろい。

写真家林忠彦の『文士の時代』は、昭和46（1971）年『日本の作家
一〇九人』（主婦と生活社）が出版され、後に、再編集された『文
士の時代』（朝日新聞社）として上梓され、平成24（2014）年中公
文庫版として新編集されたものだ。

105人の小説家のポートレートとともに思い出が綴られている。
ポートレートを見ると、「ああ、こういう人だったんだ」というイ
メージが湧いてくるのが不思議だ。


＜本書一部抜粋＞
三島由紀夫（1925－1970）
文学のことはよくわかりませんが、もし背伸びしないですむような
肉体を持っていたら、ああいう自決の最後も起きなかったんじゃな
いかという思いが僕にはあります。
（注）今年は三島由紀夫没後50年。

尾崎士郎（1898－1964）
酒を飲んでこれほど豪快な人を知りません。･･････お酒がだんだん
回ってくると、真っ裸になっちゃって、ふんどし一つで横綱の土俵
入りをやるんです。
（注）私は、学生時代といえど、そこまではやらなかった。

伊藤整（1905－1969）
ふだんは洒落などは言わない人でしたが、飲むとニヤッと笑って、
わりにくだけた感じにもなられました。

小林秀雄（1902－1983）
お会いしてみると、非常に神経質な風貌で、川端先生をちょっと若
手にしたような、そういう似通った顔でもありました。さっぱりし
ているようで、ねちっこさがあるというのが川端先生で、本当にサ
バサバしているところが小林先生だったように覚えています。



林忠彦『文士の時代』（中公文庫、2014）
カバー写真：坂口安吾（林忠彦撮影）

それにしても、すべて「プロ」になるのは難しい。

＜参考＞写真家
林忠彦：1918－1990（72）
木村伊兵衛：1901－1974（72）
土門拳：1909－1990（80）
秋山庄太郎：1920－2003（82）

　-----------------------------------

立民党の高井衆院議員（東大卒）が緊急事態宣言後にセクキャバで
遊興。法律違反ではないのだろうがまったくいただけない。離党届
を預かって、執行部がどうしよう？と即断しないのも日本的？
「セクキャバ」がどういうものか知らないが、風俗店の一種らしい。

週刊文春等によれば、安倍首相夫人が、3/14首相の「コロナ警戒発
言」翌日に大分旅行。
－－たしかに3/14に首相は記者会見をしているが、その趣旨は、
「緊急事態宣言の状況にはない」というもので、上記高井議員とは
ちょっと違うのではないかしらん。

メディアも、日本的というのかどうか、ちょっとおかしいと、「魔
女狩り」というか「非国民」と叫ぶ危険性がある？

とはいえ、どなたであれ、感染防止のためには、あまり外出しない
方がいいのだろうが･･････。