4月2日(月)、気象庁は異例の記者会見を開いた--「3日(火)から4日(水)に
かけて全国的に台風並みの暴風雨になる」という。
3日(火)朝、出勤する時は晴れていたが、夕方に備え、長い傘を持って出かけた。
わが社の仕事はバイク便による証券配達もあるので、仕事中も空模様を気にし
なければならない。時々窓の外を見る。午後、予報どおり低気圧が接近しつつあ
るというので、遠距離通勤の社員を優先的に帰宅させることにする。午後3時ご
ろから吹き降りとなる。4時ごろには早くも帰宅ラッシュとなったようだ。
当日は「二期会創立60周年記念ガラ・コンサート」(東京オペラシティコンサート
ホール)の予定だった。4時過ぎに東京オペラシティコンサートホールのHPを確
認すると、「本日の演奏会は予定どおり行います」と掲載されている。退社後、
風雨の強まる中、都営新宿線で初台へ。意外や電車は空いていた。ラッシュの
ピークが過ぎていたのかもしれない。この分では、今日の演奏会も空席が目立
つだろう。
しかし、会場について驚いた。開演(6時半)はまだまだというのに、ロビーは多
くの人であふれている。私が会場入りした、ちょうどその時、赤いドレスを着た女
性が拍手に迎えられ、ロビーに登場した。うかつにも知らなかったが、開演前の
ロビーコンサートが行われるらしい。
登場したのは嘉目真木子(よしめまきこ、ソプラノ)さんと大澤一彰(おおさわか
ずあき、テノール)さんという二期会の若手。若手といっても既に活躍されており、
今年7月の、二期会創立60周年記念公演『パリアッチ』、『カヴァレリア・ルスティ
カーナ』に出演が決まっている。当日配布のプロフィールに、嘉目さんは「美貌と
歌唱力で期待される21世紀のプリマ」、大澤さんは「日本人離れした高音の輝
きとドラマティックな歌唱で大注目のテノール」と紹介されていた。大澤さんは第
44回(2008年)日伊声楽コンソルソ第1位である。ちなみに1976年第12回の第
1位は山路芳久さん、1979年第15回は市原多朗さんである。1964年第1回は
松本美和子さんであった。
私はロビーでサンドウィッチを頬張りながら聴いたが、大澤さんのハイC(かハイ
C♯)には大喝采となった。今後にはまさしく注目である。(ピアノ梅田麻衣子)
二期会は、昭和27(1952)年三宅春恵、川崎静子、柴田睦陸、中山悌一等を中
心に、若い16名の声楽家によって結成された。それまでの日本の声楽界、オペ
ラ界の活動を第一期とし、これからは新しい第二期の時代という意味から二期会
と名付けられた。東京音楽学校出身者によるオペラ研究会だった。創立メンバー
では、畑中良輔(大正11年生)先生がお元気である。佐々木成子(大正8年生)、
栗本尊子(大正9年生)、戸田敏子(大正11年生)さんもお元気かしらん。当初16
名でスタートした二期会は、30周年で400人となり、いまや2600人の会員を有
している。
本演奏会のチケットはS、A、B席という発売で、完売状態。前述のとおり、暴風
雨にもかかわらず多くのお客さんが詰めかけた。私の席はA席--2F-L1-
5。ステージ真横の席であることに座ってから気づいた。後の祭りである(写真
参照)。
声楽ステージは、子音が聴こえないので、顔の見えない真横とか後ろで聴くべ
きではない。昨年のゲルネ/ウィーン・フィルと同じ間違いを犯してしまった。自
分に「厳重注意」である(笑)。
<第一部>
1.ワーグナー;『ローエングリーン』第3幕への前奏曲
6時33分東響が入場。コンマスは高木さんかな。6時36分下野さんが指揮台
へ。歯切れいい「ローエングリン」を聴かせてくれた。
2.モーツァルト;『ドン・ジョヴァンニ』より「シャンパンの歌」(宮本益光)
トップバッターは「二期会のキムタク」宮本さん。多方面の活躍で、脂(油ではな
い。)が乗っている。熱演型だった。最近、CD「碧のイタリア歌曲」を発売。CDを
出すということはファンが多いということである。1枚3,000円が2000枚として
・・・・・・。
宮本さんの説明によれば、二期会の公演数第1位は『フィガロの結婚』、第2位
は『魔笛』だそうだ。
3.『フィガロの結婚』より“恋とはどんなものかしら”(林美智子)
黒の衣装。黒のズボン風はまさしくズボン役。歌いながら、その場でグルッと一
回りしてくれた。林さんのファン・サービスかな。今年、CD「Belle Excentrique
~林美智子ベル・エポック歌曲集~ 」を発売。
毎回、歌い終わると同時にブラボーの声がかかる。すべて、この日の出演者は
音楽大学の先生クラスといっていいだろう。
4.『フィガロの結婚』より “甘さと喜びの美しいときは”(澤畑恵美)
一部のスキもない歌唱。以前独唱会を聴いた時より、華が一回り大きくなった。
5.『コジ・ファン・トゥッテ』より“いとしき人の愛のそよかぜは”(望月哲也)
当日の最年少38歳。ヘフリガー最後の(?)弟子。意外とリリックで、ヴェルディ
よりモーツァルトかしらん。
6. 『魔笛』より“復讐の心は地獄の炎のように燃え”(安井陽子)
桐朋音大出身のコロラトゥーラ。夜の女王、黒のドレス、黒の手袋。完璧のテク
ニックでひきつけられた。ドッと拍手とブラボーが来た。(お客さんは知っている。)
7.ワーグナー;『タンホイザー』より「夕星の歌」(黒田博)
3月にもヴォルフラムを歌っている。後半のろうろうとした歌いぶりがすばらしい。
8.R.シュトラウス;『ナクソス島のアリアドネ』より“偉大なる王女様”(幸田浩子)
平成14(2002)、平成20(2008)年にツェルビネッタ。少し動きながら長いア
リアを歌う。長髪。肩幅狭く、手も細い。安井さんも幸田さんもけっして大柄でな
い、むしろきゃしゃなのに見事な声である。満面の笑みで下がった。
9. 『ばらの騎士』より“固く武装する胸もて”(福井敬)
単独で取り上げられることは少ないアリア。ややドラマチックに、張るべきとこ
ろを張って歌い上げた。最後は80度のおじぎ。(10年前の「マイスタージンガー」
ではヴァルターを聴いている。)
10.第3幕 終幕の三重唱(佐々木典子、幸田浩子、林美智子)
佐々木さんはアップの髪、「元帥夫人」は貫録十分。幸田さんはにこやか、林
さんは長髪を後ろに束ね、下野さんの指揮はタメも十分。
<第二部>
休憩も過ぎると会場内もリラックスした雰囲気が流れる。
11.ビゼー;『カルメン』より前奏曲「ハバネラ」(伊原直子)
昭和42(1967)年「安宅賞」受賞。昭和52(1977)年、伊原さんがソロを務め
た、年末のN響を聴いている。指揮はホルスト・シュタインだった。カルメン衣装
の伊原さん、現在はおいくつかしらん。堂々たるカルメンだった。
ちなみに『カルメン』は二期会公演数第3位。伊原さんはカルメンを最も多く歌っ
ている。
12.ヴェルディ;『リゴレット』より“悪魔め鬼め”(栗林義信)
栗林さんのリゴレットを聴いたのは学生時代。畑中先生から「栗林くんのいい
声を聴いてください」といわれ、東京文化会館の5階での鑑賞だった。芸大卒業
の翌年23歳にはスカルピアでデビュー。25歳で日本人として初めてミラノ・スカ
ラ座研究生。おいくつかしらん。(70歳は超えているかと思いきや78歳!)声だ
け聴いても年令は分からない。最後は舞台にひざまずいた。
13.プッチーニ;『ラ・ボエーム』より“冷たい手を”(樋口達哉)
樋口さんのお名前は知っていたが、聴くのは初めて。武蔵野音大出身。明るい
イタリアの声。高音も中音もグッド!大拍手だった。
14.第3幕終幕の四重唱(澤畑恵美、安井陽子、望月哲也、宮本益光)
下手側から、宮本、安井、澤畑、望月さんの順で並んだ。オペラの舞台を彷彿
とさせるアンサンブルである。
15.『トゥーランドット』より“この宮殿の中で”(横山恵子)
オレンジドレス。胸厚の上半身。強靭な声。堂々たるトゥーランドット姫。日本の
ビルギット・ニルソン?
16.“誰も寝てもならぬ”(福井敬)
やや暗めの発声。福井さんもけっして大柄ではないが、絶好調。どこから声が
出ているのかしらん。最後は下野さんも大きく盛り上げた。これで大拍手が来な
ければおかしい。
宮本さんは「私も歌手ですが、この(すばらしい)声に嫉妬心を抱きますね~」。
17.レハール;『メリー・ウィドー』より「ヴィリアの歌」(佐々木典子)
芸大准教授の佐々木さん。気高い品格ある歌唱。ここでも貫録十分。訳詩で歌
われた。正面で聴けなかったのが残念である。「マイスタージンガー」ではエー
ファの名唱をを聴いた。
18. “女・女・女”(男性歌手全員)
男性陣が総登場。下手寄りから上手寄りに樋口、栗林、黒田、宮本、福井、望
月さんと並んだ。途中から女性陣が登場、中央から上手側に佐々木、伊原、横
山、澤畑、林、安井さん。
19.「メリー・ウィドー・ワルツ」(全員)
最後は、出演者全員による「メリー・ウィドー・ワルツ」。ワルツを踊り、手をつな
ぎ、いかにも楽しそうな(--そう見える)プロの歌唱だった。
<アンコール>『こうもり』より「乾杯の歌」
いったん下手に下がった皆さんがカーテンコールに登場。5分ほど「乾杯の歌」
を歌い上げた。とくに女性陣は満面の笑みを振りまいた。
9時8分終演。
指揮:下野竜也
管弦楽:東京交響楽団
司会:宮本益光
出演
<ソプラノ>幸田浩子 佐々木典子 澤畑恵美 安井陽子
<メゾソプラノ>林美智子
<アルト>伊原直子
<テノール>樋口達哉 福井敬 望月哲也
<バリトン>栗林義信 黒田博 宮本益光
一流のプロの声を聴いていると楽々といい声を出しており、私もあれくらい声が出
るのではないかと思ってしまうが、実際に歌ってみると自分の貧弱な声にガック
リである。ゴルフのプロとアマの差と同じかな。パープレーは簡単にできそうだが。
二期会50周年には「マイスタージンガー」を聴いた。あれから10年とははやい。
今年、創立60周年記念事業は目白押し。どれに行くか?迷ってしまう。
終演後、交通機関の状況を心配したが、バスも電車もガラガラ。スムースに動い
ており、1時間ほどで帰宅できた。
会場入り口
ロビー・コンサートの模様
2階L1-5より 指揮者の下野さんのお顔がよく見える
最前列に山田邦子さんがおられた
休憩には交通情報が貼り出された
プログラムの写真 左上から幸田浩子 佐々木典子 澤畑恵美 安井陽子 横山恵子
林美智子 伊原直子 樋口達哉 福井敬 望月哲也
栗林義信 黒田博 宮本益光
下野竜也
* * * *
4月6日(金) 2か月ぶりに虎の門病院へ。診察待ちの間、スターバックスで嵐
山光三郎『文人悪妻』(新潮文庫新刊)を読む。おもしろくて止まらない。
都内の桜は見ごろを迎えている。
虎ノ門 金刀比羅宮の桜
虎ノ門の金刀比羅宮については→こちら
日本消防会館(ニッショーホール)前
4月7日(土) 冬に逆戻りしたかの寒さ。花冷えである。花見がてら近所を散策
する。こちらの桜は八分咲きかな。
シモクレン
コブシ
ユキヤナギも目立つ
第一小学校
劇団四季芸術センター
桜通り
テニスクラブ
4月8日(日) お釈迦様の誕生日である。私は仏教系(お寺)の幼稚園に行って
いた。
図書館で「スペイン語の発音」についてコピーする。易しいようで難しい。
4月14日(土)予告 ワグネル・オムニバス・コンサート12:30開演
(慶應(日吉)藤原洋記念ホール) 入場無料
ワグネル男声(大学、志木高、OB)ほかアリババ、HYMN等々が出演
最新の画像[もっと見る]
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
- 1/15 自由が丘(2) 11時間前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます