児童文学ファンタジー大賞佳作受賞作がついに出版されました。
おおぎやなぎちかさまの児童文学単行本デビュー作です。
(俳人・北柳あぶみとして句集「だだすこ」も出されています)
六年生になる春、解人は東京から岩手の朱瑠にあるパパの実家に引っ越した。
風呂あがりに置いたはずのパジャマがなくて探していると、おばあちゃんが
「しゅるしゅるぱん」
とつぶやいた。
この地域では昔から、何かがなくなったりへんなことがあると「しゅるしゅるぱん」というのだ。
始業式の日、田んぼのずっと向こうに見える学校へと畦道を歩くが、全然学校が近づかず解人は遅刻してしまう。
体育館の始業式をパスしてがらんとした六年二組の教室に入ると、ランニングシャツ一枚に半ズボンの男の子がいた。
「おめ、きらだよな」
「きらでねんだが?」
低く、かすれた声でその子は言った。
そして自分のことを「しゅるしゅるぱん」だという…
ひいばあちゃんの妙。
おばあちゃんの道子。
道子の息子の彬(あきら)。
そして解人。
四世代の物語が語られ、「おらは死んでね。生まれてもいね」と言うしゅるしゅるぱんの存在が読者の中で大きくなっていく。
この春ひと枝だけ花をつけた桜の木。
朱瑠川のまん中にある一畳岩。
神の山と言われる朱明山。
どっしりとした漆喰の蔵。
季節の花や蝉の声や。
リレー練習での解人の挫折。
本の中で語られる本の話。
ずんずん物語に引きこまれていき、妙と恋仲だった作家・三枝面妖の「面妖な日々」を解人が読む場面。
三枝面妖の日記が綴られたこの本の文章は習字に似た書体になっていて、しゅるしゅるぱんの秘密がほのかに明かされる。
うるっとして本から顔を上げた。
切なくて、しゅるしゅるぱんが愛しくて。
読み終えて、1時間以上もぼうっとしていた。
完全に物語に心がかっさらわれていた。
この本を読む人はみな、まず、「しゅるしゅるぱんて何?」と思うだろう。
そして読み終えると「しゅるしゅるぱんて、なんていい響きなんだろう。しゅるしゅるぱんは、なんと愛しいのだろう」と思うのではないだろうか。
名作です。
こんなすばらしい作品でデビューするおおぎやなぎさま。
うらやましすぎます!
おめでとうございます!
自分の書いていた話が色あせて困った困った。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
おおぎやなぎちかさまの児童文学単行本デビュー作です。
(俳人・北柳あぶみとして句集「だだすこ」も出されています)
六年生になる春、解人は東京から岩手の朱瑠にあるパパの実家に引っ越した。
風呂あがりに置いたはずのパジャマがなくて探していると、おばあちゃんが
「しゅるしゅるぱん」
とつぶやいた。
この地域では昔から、何かがなくなったりへんなことがあると「しゅるしゅるぱん」というのだ。
始業式の日、田んぼのずっと向こうに見える学校へと畦道を歩くが、全然学校が近づかず解人は遅刻してしまう。
体育館の始業式をパスしてがらんとした六年二組の教室に入ると、ランニングシャツ一枚に半ズボンの男の子がいた。
「おめ、きらだよな」
「きらでねんだが?」
低く、かすれた声でその子は言った。
そして自分のことを「しゅるしゅるぱん」だという…
ひいばあちゃんの妙。
おばあちゃんの道子。
道子の息子の彬(あきら)。
そして解人。
四世代の物語が語られ、「おらは死んでね。生まれてもいね」と言うしゅるしゅるぱんの存在が読者の中で大きくなっていく。
この春ひと枝だけ花をつけた桜の木。
朱瑠川のまん中にある一畳岩。
神の山と言われる朱明山。
どっしりとした漆喰の蔵。
季節の花や蝉の声や。
リレー練習での解人の挫折。
本の中で語られる本の話。
ずんずん物語に引きこまれていき、妙と恋仲だった作家・三枝面妖の「面妖な日々」を解人が読む場面。
三枝面妖の日記が綴られたこの本の文章は習字に似た書体になっていて、しゅるしゅるぱんの秘密がほのかに明かされる。
うるっとして本から顔を上げた。
切なくて、しゅるしゅるぱんが愛しくて。
読み終えて、1時間以上もぼうっとしていた。
完全に物語に心がかっさらわれていた。
この本を読む人はみな、まず、「しゅるしゅるぱんて何?」と思うだろう。
そして読み終えると「しゅるしゅるぱんて、なんていい響きなんだろう。しゅるしゅるぱんは、なんと愛しいのだろう」と思うのではないだろうか。
名作です。
こんなすばらしい作品でデビューするおおぎやなぎさま。
うらやましすぎます!
おめでとうございます!
自分の書いていた話が色あせて困った困った。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)