川天使空間

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HHV-6の不思議

2019年06月02日 05時55分17秒 | 小児科
小児神経学会に参加して、目から鱗がいっぱいあった。
中でもHHV-6ウィルスの不思議な動態にはちょっと興奮して。



HHV-6は1986年、AIDS患者から分離された6番目のヘルペスウィルス。
赤ちゃんが最初に熱を出す「突発性発疹症」のウィルスとして知られている。
研究者のお子さんにお母さんの唾液を投与したら2週間後に突発疹が発症したとのこと。
ふつうにヒトの中に潜伏感染しているウィルスだ。

HHV-6は宿主が免疫不全状態になると再活性化するが、一般に初感染では予後良好と言われている。
赤ちゃんの突発疹は3日高熱が出て解熱すると発疹が出る、軽い疾患だから。

けれど、時にHHV-6は熱性痙攣や脳症を引き起こす。
脳症は頻度で言えば、インフルエンザ脳症の次に多い。

ここまでは私も知っていたが、HHV-6がヒトゲノムにintegrate(統合)されるなんて初めて聴いた。

ヒトの中では、HHV-6だけがゲノムにintegrateされるとのこと。
これをchromosomally integrated HHV-6という。

そして親のゲノムの中に組みこまれたHHV-6はそのまま子に遺伝する。
そのような形でchromosomally integrated HHV-6を持つ割合は日本人の0.6%とのこと。
だからといって、今のところそのことによる異常はみつかっていない。

けれど問題は検査の時。
マイコプラズマ脳炎で脳脊髄液を調べたら、HHV-6が見つかった例があった。
HHV-6脳炎?同時感染? とも思われたがこの子は血液などからも多くのHHV-6がみつかり(通常は見つからない)、
chromosomally integrated HHV-6であることがわかったのだった。
HHV-6による脳炎と誤診して協力な抗ウィルス剤を使うミスは防げたようで。

人間とウィルスの共存。しかも遺伝するものという。
HHV-6は一般人の唾液に普通に存在し、一度感染すると単球・マクロファージ中に潜伏感染する。
脳炎への経路は、鼻粘膜から嗅球へ浸潤し脳に至るものが考えられている。

帰りのプロペラ機からの景色。



突発疹ウィルスHHV-6、面白いなあと思ったのだった。

1日ちょっと学会でお話を聴いてきただけなのに、頭の中は新しい知識でいっぱいでわくわく中。
こんな中、今日もちょっとだけ釣りに行く自分はよほど釣りバカなのだなあ。
今日は17時から小児救急当番なのにね。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント (4)
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