かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

長かった一週間 山と食の記憶

2024-10-05 21:43:23 | 日記

旅すれば時が長ずる。たった1週間の旅ではあったが、遠い昔の出来事が折り重なるような感覚に囚われる。

石垣島や沖縄本島からやってきたオールドエイジたちと合流し、松本から上高地へ。

 

 

 

当初、涸沢ヒュッテに宿をとり、錦秋の涸沢カールを愛でて、翌日は蝶ヶ岳に登り壮大な槍穂高の山岳風景を眺めて山頂のヒュッテに泊まる予定であった。蝶では、石垣島時代に知り合った若い仲間が一人三俣から登ってきて我々に合流し、彼が持ってきた日本酒1升を酌み交わす予定であった。

予定というものはいつも仮の未来にすぎない。涸沢ヒュッテは混みすぎて予約がかなわず、向かい側の涸沢小屋も同じく。それどころか、9月末の終末、上高地界隈の宿泊施設がどこも予約でいっぱいの状況なので驚いた。が、今になってみればその理由が分かった。

要するに、上高地と涸沢を結ぶルートは、今や「オーバーツーリズム」状態。インバウンドも含めどこからこんなに多く人がやってくるのか、河童橋から明神までの遊歩道は、昼ともなれば、歩行者で一列渋滞状態であった。

幸運にも、われわれは定員たった14名の徳本峠小屋に予約ができたので、初日はそこを宿りとし、翌日は「健脚向きで展望のない」中村新道というだらだらと上り下りを繰り返す長大な尾根を辿り、大滝山から蝶ヶ岳のルートに変更したわけであるが、結論的にはこのルートが真の山の静けさを味わう「静寂ルート」で皆がどう思ったかわからないが、海の沖縄から来た連中に1日中森の奥深さを体験させてやったことができてよかったと思う。定員が100名を超える蝶ヶ岳ヒュッテとちがい、100年の歴史を生きた定員14名(当夜は10名が宿泊した。要するに上高地の繁盛から取り残されたような小屋だったが、これも結論から言うと大正解。古い仲間たちと静かな山小屋で心置きなく談笑することができた。

 

肝心の紅葉は全くの期待外れ、蝶からの大展望も到着時を除いて雲に隠されてしまうという状態、また蝶で合流する予定だったM君は、妻の突然の発熱でドタキャンとなり、キャンセル料100%徴収となるアクシデント。いくつもの「期待外れ」を経験したが、涸沢に行っても同じガッカリを経験しただろう。が、雨にも降られず、上高地からの山岳展望は大方体験できたのだし、なによりもオールドエイジ5名ケガも体調不良もなかったのだし、みんな「来年もどこかに行こう」と言って笑って別れることができて、久しぶりのグループ登山、楽しく終えてほっとした。

 

オイラの旅はこの日からあと5日間続いた。

例のJR東日本がやっている「大人の休日パス」5日間新幹線、特急、在来線乗り放題である。

初日は、松本からの帰路に使用。4時間もかからず帰宅。なお、松本駅では行きも帰りも立ち食いの「山菜そば」を所望。このところ、そばの味との相性がいい山菜そばに凝っているのです。(駅そばも、駅を降りた蕎麦屋も蕎麦がうまいので、この駅は大好きであります。)

二日目、アルプスの疲れをとるために花巻を訪れ、鉛温泉のお気に入り旅館前のバスを降りたが、・・・

何と月1回の休業日の張り紙。30分歩いて戻り、山の神温泉の日帰り温泉に二時間どっぷり。良質の湯と秋の気配に満足し、賢治さんの通ったという花巻の蕎麦屋で「カレー南蛮蕎麦」所望。疲れているとなぜかカレーが恋しい。

 

三日目、「栃木県民だけがこよなく愛しているチダケ汁(ベニタケ科チチタケ)」を体験したくなって、ネットで調べた宇都宮のうどん店へ。ところが、店に着いたのが閉店40分前であったにもかかわらず、神経質そうなおやじに「今日はもう遅いから出せない、11時開店だから時間に余裕をもってきてくれ」といわれてしまった。材料はあるが、調理に時間がかかるとことであった。すごすご冷たいおろしうどんを食べて帰ったのだが、このうどんが旨かったので、「またチタケうどんを食べに来ようと」気になった。新幹線乗り放題だからの発想ではあるが・・・

(この店、撮影禁止。神経質そうなオヤジではある)

四日目、この「大人の休日パス」の期間、必ずと言っていいほど採り入れるコースは田沢湖駅で降りて、秋田駒ケ岳や乳頭山に登って乳頭温泉で湯あみしてくることであるが、今回は、午前「キノコ採り」、午後「温泉」という思い付きで朝の準備をしていたところ、雨予報であったため、「キノコ採取セット」は自宅に置いて出かける。

この日は「蟹場温泉」と「大釜温泉」。これで乳頭7湯すべて体験したかな。皆味わいがあって「乳頭温泉郷」は心のふるさと。オイラの目が黒いうちに、モーニングショーでやっていた「青荷温泉」みたいにインバウンドに侵されないことを願うばかりだ。この日の帰路の「想定外」は、「こまち」の車内で「濃い目のハイボール」、地酒のワンカップ「濁り酒」、「清酒」をたしなんだらねむりこけてしまい帰着駅をのりすごしてしまい「大宮駅」までいって引き返したこと。呆然とした気分で大宮駅構内でいただいた立ち食いの「山菜そば」、その麵のまずかったこと。松本駅が恋しかった・・・

新幹線乗り放題なので実損害なしだが、家に帰るのが2時間遅れたことにより、最終日の遠出はあきらめる。

五日目(最終日)、今日こそ「宇都宮のチダケ」を意気込んで、その店の開店時間まもなく来店し、そばとうどんの冷たい合盛りを熱いチダケ汁につけ麺風にして食べるという「栃木県民風」のメニューを注文。待つこと25分。完食まで約20分。「あああ、こんなにうまかったのか・・・」と久々感動。たぶんごま油でごろっと切ったナスと解凍したチダケ(チチダケ)をキノコの姿のままを炒め、出汁と酒やみりんや砂糖で濃い目に味付けしたものと思われる。薬味に、ネギ、ワサビ、ショウガが添えられて味変を楽しむ。そば湯がついていたので、残った汁を薄めて器の汁を飲み干す。

(撮影禁止)

うーん、うどんと蕎麦のうちチタケ汁はうどんとの相性がよさそうだ。これなら、オイラも家で作れる!と自信をもって店を出る。しかし、なぜ栃木県民だけがチタケを愛するのか・・という疑問は解決しないまま旅を終えることに。

帰りに飯坂温泉で旅の最後の疲れを取ろうかと思ったが「天然温泉」という触れ込みのスーパー銭湯が駅近くにあったので、旅をその湯でしめるが、やはり歴史を感じない湯はいかに天然であっても旅情は感じないぜ・・・・・

ああ、長かったぜ、1週間・・

山の記憶よりなぜか、食の記憶だけが鮮明に・・

 

嘉門次小屋のイワナ塩焼き定食。ちょっと小ぶりだが頭から尾まですべていただく。

 

徳本峠小屋朝食 ご飯もおかずもなかなかうまかった

 

蝶ヶ岳ヒュッテの夕食 M君の分もみんなで分かち合いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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