かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

700年前のベテルギウスの光

2020-01-22 10:01:13 | 日記

朝日新聞の報道。オリオン座の一等星ベテルギウスの光が暗くなっているのだという。

このオレンジ色の一等星のこと700、800、1000と覚えたい。

わが天の川銀河系の恒星で地球に最も近い700光年の距離にあること。

太陽の45億歳に対して800万歳と生まれたばかりながら、もう燃え尽き症候群に落ちいって消滅寸前であること。

太陽の1000倍も大きいこと。(記事によると、もし太陽の位置にあったら、地球や火星を飲み込み、木星近くにまで達するとのこと!)

暗くなっているということは、爆発の前兆か。今見えているベテルギウスは、700年前の光。今という時刻、もしかしたら、大爆発を起こし最後の輝きを放ち、全天から消えているのかもしれない。今見えている勇ましい、肩をいからせた狩人の姿は、700年後のヒトビトにはレガシーとなっているのかもしれないと思うと、今を生きるヒトの一員として、もっと眺めていてやりたくなる。このところ、寒さにかまけて、星空観察をなおざりにしすぎている。(D750君がドライボックスの中で泣いている。)

朝日新聞記事

また、1年前の石垣島の話になるが、2019年1月23日の夕刻はよく晴れあがって、午後8時前、大好きなオリオン座の一等星ベテルギウスと対峙するもう一方の青白い一等星リゲルを源流とする南天の大河エリダヌス、その川果ての河口に輝く一等星アケルナルをすべて捉えることができた。

この季節の石垣島、朝方は、白鳥区をスタートし、南十字ステーションにいたる銀河鉄道の旅を楽しんで、夕刻には、オリオン区をスタートし、エリダネスの大河を銀河帆船でくだり大河の果てのアケルナルの港までの旅も満喫することができる。1年前の1月25日には、全天21の一等星撮影を完結もでき、まさに夢見心地だったような気がする。

暗さの進行を続けると、ベテルギウスが一等星グループから外される日が近いのかもしれない。ゆるせるならば、1年後、D750を連れて、石垣や、西表に長逗留し、黄昏色の超新星爆発前夜を観察しておこうか。

国立天文台 今日の星空 石垣島2019.1.23 20時



星めぐりの歌

コメント

アルファ米抗争

2020-01-20 16:20:34 | 日記

古いマンションの古い食器棚の奥に、尾西食品の「アルファ米白飯2食分」二袋がおいてあった。いつごろ買ったものだろう。石井スポーツ450円のシールが貼ってあり(高いな)、今とは袋のデザインが異なることから、少なくとも10年くらい前に買って、山行の余りとして置いていたものだろう。少なくとも、災害のストックとして買いだめしておいたものではない。

これからの山行に持っていこうとも考えたが、賞味期限を見ると2017年9月とあり、すでに2年以上経過していた。乾燥米なので、今食べるのに健康上全く問題ないとは思ったが、何となくまずそうだったので、かといって捨てるのはもったいないと思ったので、(悪意はないが)近所にたむろするスズメたちのエサとして、ベランダに毎朝一握りだけ撒くことにした。夏の間は、餌となる昆虫がたくさんいるのだから、餌やりはやめるが、冬はさぞ餌に乏しいのだろうとの老婆心なのであるが、なぜか彼らは、まるまる太っている。

アルファ米をやる前は、少し玄米をやっていたのだが、アルファ米を撒いたらよっぽど気に入ったとみえて盛んに飛んでくるようになった。10数羽のグループである。窓を開けると、どこから気配をかぎつけるというのか、近くの植え込みに留まってこちらを見ている。

はじめは、ものの四五分で啄み、あっという間に飛び去って行くという日々が続いたが、ある日から雀の体の大きさの4,5倍はあろうかと思われるヒヨドリのカップルがベランダに舞い降り、スズメたちを追いやり独善的にアルファ米をせしめようとするようになった。

スズメたちにとっては、決してヒヨドリが天敵ではないのだが、数倍体が大きいヒヨドリはスズメの頭上から羽切音をうならせて集団を追い払う。

縄張り意識の強そうなヒヨドリは、こちらがアルファ米をベランダに撒くと、スズメたちが近づいても追い払うようになった。その作戦は、まず一羽が啄み、いいところで飛び去る。瞬時に近くで待機してスズメたちを監視していたもう一方がやってきて啄む。まるで、スズメたちにスキを与えないというチームワークだ。

スズメたちは、ヒヨドリを煙たがり、しばらくはあまり近づかない日が続いた。

ところが、今日のスズメ軍団はどうだろうベランダの床にやってきてヒヨドリが落としたおこぼれのコメをつついたり、ヒヨドリが、ちょと目を離したすきに、ベランダちょこんと乗っかって、どうどうと啄むようになってきた。

そして、とうとう、誰かが見張りをしていたのだろうか、まずヒヨドリがある程度お腹を満たしてベランダを離れた間隙を縫って、10羽ばかりの集団が瞬く間にやってきて残りの米粒すべてをかっさらって行った。

スズメたちは、どうやら学習したようだ。無駄な抗争はやめにして、まず、ヒヨドリのカップルにアルファ米を食べてもらう。数十粒のアルファ米はヒヨドリのお腹の中ですぐに膨らみ、カップルは場所を離れてサザンカの藪の中あたりで、しばし休憩。縄張り意識による警戒が緩んだそのとき、一気呵成に舞い降りて残りのお米を食べつくす作戦に移行したようだ。

ほんの一握りの数百粒のアルファ米を巡っては、いましばらく続くのだろう。

賞味期限切れのアルファ米あと一袋残っている。鳥たちに健康障害はなさそうだし、ほんのひとにぎりなので、近所迷惑にもならんようだ。冬の間、家にいるときは、もうしばらく、やってみて抗争の成り行きを見守っていこう。

 

 

縄張り意識の強いヒヨドリは、いつも近くで監視しているようだ。

 

 

 

 

 

 

コメント

初春(はつはる)の花

2020-01-20 10:53:39 | 日記

雪が降らない。雪が積もらない。大寒の今日、仙台地方は氷点下を下らない。氷も張らない。
県内のスキー場でまともに営業できているのは、蔵王すみかわスキー場だけのようだ。昨日は、広瀬川の草むらに、はつはるの青いひとみ、イヌノフグリの花(?)が早くもほんのり開いていた

イヌノフグリは、日本在来種で絶滅危惧種とか。もう少し大きいオオイヌノフグリは、ヨーロッパ原産の外来種で、明治期に渡来したとある。並べてみないと違いが分からないが、2月ごろから草むらを席捲するオオイヌの方が花期も長いし、色も濃く、茎や葉がやや毛深いということで、じつは、両者の違いが今一つ分からん。今度、マクロレンズをもって観察に行こう。どうも、手持ちのG3xくんでは、ピンボケ気味だ。

イヌノフグリ

オオイヌノフグリ

 

ミヤマムラサキやツユクサなど、青い花が大好きだ。イヌノフグリに始まって、スミレ、エンゴサク、シラネアオイ、アジサイ、ツユクサ,ミヤマムラサキ、キキョウ、リンドウ、ツリガネニンジン‥など、今年は「青い花図鑑」なるものを作ろうか。

しかしながら、はつはるの花を愛でてばかりいられない。オイラの体内時計から行っても開花が早すぎるのだ。いつもなら雪や氷の下で凍えている草むらが、早くも萌えようとしているのは、ちょっとフライング過ぎる。

地球温暖化のシグナルは、ここにも届いているのか。

昨年のカルフォルニアやアマゾンと続いてオーストラリアの火災と地球上が燎原の火と化しているのではないかと不安になってくる。この日記を書いている間にも、世界中の森林がメラメラ燃えさかり、乾いた積乱雲をつくり、その雲より放たれた稲妻がさらに火災を引き起こし、幾多の生き物の命が奪われていると思えば、「青い花図鑑」など夢見ている場合ではないのかもしれない。(オイラ個人では何ができると問うても解は見つからないが)

本国の自衛隊などが、わずかな数でアリバイ的に豪州鎮火支援に出かけているというが、世界中紛争をやっている場合ではなく、「調査・研究」に軍艦を紛争地域に派遣したりするのでもなく、世界中の軍隊、消防総力を挙げ、火消しに走ってほしい。宇宙の外側からではなく、(もしかしたら)ヒトが作り出した業火というゴジラに「地球防衛軍」として立ち向かわなければならない時機なのだろう。

 

オーストリアの火災分布

火災積乱雲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

南天の星へのあこがれ

2020-01-18 11:03:33 | 日記

あらためて、2019年1月15日の石垣島の夜明け前は、しあわせな朝だったんだと思う。南西諸島は、冬になると大陸の高気圧の縁(へり)にあたり、年が明けても、ずうっと曇り空の日が続いていたので、明け方の6時ごろ、(当日の夜明けは、7時29分、天文薄明は6時09分)天の川が水平線に横たわり、真南に南十字星やケンタウルスのα、β星がはっきりと浮かび上がり、東寄りにさそり座が低く立って、赤い目玉のアンタレスが輝き、さらに写真では月かと見紛うばかりの金星と木星がサソリと並んで記念写真に納まってくれたことは、僥倖といっていいだろう。石垣島をあと2か月で離れる者への天からの餞(はなむけ)だったのかもしれない。

 

 

国立天文台「今日のほしぞら」2019年1月15日6:00(石垣島)より

 

 

宮澤賢治の遺言のような「経埋ムベキ山」(キョウウズムベキヤマ)と星座を重ねる作業を行うことによって、賢治は、やはり、天の川を北上川になぞらえ、白鳥座(北十字)あたりから真っ赤に美しい蠍(さそり)の火を経由してサザンクロス(南十字)までの銀河鉄道による創作の旅と、岩手山から平泉の山というイーハトーブ圏内での自らの人生の旅を重ね合わせていたのではないか、という思いがつよくなった。

旅の終着は、南十字の石炭袋(コールサック)かマヂェラン星雲か。いずれにしても南天へのあこがれである。そして、旅の終着から先、最愛の妹トシはどこに行ったのか、カムパネラはどうして消えたのか、そしておのれはどこに行くのか、「そのまゝどこへ行ってしまったかわからないことがなんといふいゝことだらう……」(薤露青)そんなことを思い続けた、(死を意識しはじめてから)15年の想いだったのかもしれない。

銀河鉄道の夜のイメージと重なる詩といわれる春と修羅第二集に納められた「薤露青」(かいろせい)。薤露(かいろ)とは、ニラの細い葉先の露のような人生の儚さをいうのだそうだが、賢治というヒトは、亡くなる9年前の1924年(大正14年)当時、夕べの北上川河畔に立ち、みおつくし(航路のしるべ)に添って南に流れゆく川の水と、水辺に投影される天の川を南下していく銀河鉄道のイメージを重ねあわせ、「どこにいくかわからないことが、なんといいことか」という精神に達していたんだな。彼は、花巻からみて、北上川がはるか南に流れ行くように、天の川もサザンクロスやマヂェランの方向に南下していくのだと信じたのだろう。「経埋ムベキ山」の南十字は花巻の南、平泉(藤原氏の浄土もそこにある)という考え、「いゝこと」だと思う。

 

 

一六六  薤露青

一九二四、七、一七、


みをつくしの列をなつかしくうかべ
薤露青の聖らかな空明のなかを
たえずさびしく湧き鳴りながら
よもすがら南十字へながれる水よ
岸のまっくろなくるみばやしのなかでは
いま膨大なわかちがたい夜の呼吸から
銀の分子が析出される
  ……みをつくしの影はうつくしく水にうつり
    プリオシンコーストに反射して崩れてくる波は
    ときどきかすかな燐光をなげる……
橋板や空がいきなりいままた明るくなるのは
この旱天のどこからかくるいなびかりらしい
水よわたくしの胸いっぱいの
やり場所のないかなしさを
はるかなマヂェランの星雲へとゞけてくれ
そこには赤いいさり火がゆらぎ
蝎がうす雲の上を這ふ
  ……たえず企画したえずかなしみ
    たえず窮乏をつゞけながら
    どこまでもながれて行くもの……
この星の夜の大河の欄干はもう朽ちた
わたくしはまた西のわづかな薄明の残りや
うすい血紅瑪瑙をのぞみ
しづかな鱗の呼吸をきく
  ……なつかしい夢のみをつくし……

声のいゝ製糸場の工女たちが
わたくしをあざけるやうに歌って行けば
そのなかにはわたくしの亡くなった妹の声が
たしかに二つも入ってゐる
  ……あの力いっぱいに
    細い弱いのどからうたふ女の声だ……
杉ばやしの上がいままた明るくなるのは
そこから月が出ようとしてゐるので
鳥はしきりにさわいでゐる
  ……みをつくしらは夢の兵隊……
南からまた電光がひらめけば
さかなはアセチレンの匂をはく
水は銀河の投影のやうに地平線までながれ
灰いろはがねのそらの環
  ……あゝ いとしくおもふものが
    そのまゝどこへ行ってしまったかわからないことが
    なんといふいゝことだらう……
かなしさは空明から降り
黒い鳥の鋭く過ぎるころ
秋の鮎のさびの模様が
そらに白く数条わたる  (青空文庫からコピーさせていただきました。)

コメント

経埋ムベキ山と銀河の星たち

2020-01-17 10:46:42 | 日記

宮澤賢治が遺した「雨ニモマケズ手帳」に書かれていた32の経埋ムベキ山の位置を20万分の1地図に印をつけ、岩手県の白地図に山々の概ねの位置に32番号を振って眺めてみた。

岩手県の中央を流れる北上川を天の川に模して、「そのあたりの星座」に思いをおこすと、まずイメージできたのはさそり座のカタチである。岩手山、秋田駒、姫神の三座をサソリの頭と擬して、奥羽山地側の山々を線で結ぶと、一番最後の尾っぽが八方山となった。手帳に◎が印された山だ。賢治は、早くなくなった妹のトシをさそりのアンタレスに生まれ変わったとみたり、さそりの尾っぽの連なった星を双子の星のモデルと考えたりした可能性もあり、32座にさそり座をイメージすることは不可欠のようにも思える。

また、星が重なるが、岩手山をはくちょう座の尾っぽデネブとし、早池峰山と鶏頭山を白鳥の頭のアルビレオに見えた。アルビレオは二重星だから二つの山でいいかも。はくちょう座もイメージできる。

あとは、どうも「見えないが」、花巻中心部の集まった山をスバルのプレアデス星団、平泉の束稲山を南十字星とイメージしてみた。束稲山は、束稲山、音羽山、経塚山の三座からなっており、駒形山を入れると十字が切れるから、いいのかもしれない。

東に離れた種山、六角牛、仙人峠だけは、すこし、かなり無理があるが、ケンタウルスの腕当たりと見立てた。あるいは、銀河鉄道に出てくる天の川の外側の南天の星座、インディアンやくじゃくにしてもいいのかも。

あまりにも、正確を欠き、おおざっぱすぎるが、32座全座を、畑山博さんのようにきっちり現実の星座に当てはめるの困難なのだろう。

ただし、賢治はイーハトーブの圏内を中央を流れる北上川を天の川に模して「銀河鉄道の夜」などを創作していたのなら、埋経の32座を選定するにあたって、星座のことにも思いを巡らしていたことは、想像に難くない。すこし調べてみよう、なんて奥深く、霊的好奇心を沸かせるヒトなんだろう。

 

オイラのイメージした32座と銀河のイメージ。さそり座(黄色線)とはくちょう座(赤線)がかさなる。

 

畑山博さんのイメージしたとされる星座に線を引いてみた。はくちょう座、わし座、たて座、いてとなって南に下る。

 

 

コメント